第36章 私達だけの世界
いつもこの人ふざけてるしな~…、と首を傾げぷすす、と笑うと直ぐにレンジ餅みたいに膨らむ頬。子供みたいな事してさ。
……雨は分かるけどそれ以外は無いでしょ。
彼が握る携帯。それを私達から少し離れた所にある掛け布団に放り出し、私をそのまま「えいっ、」と敷布団へと押し倒し組み敷いてきた悟。背中から敷布団にダイブしたから痛くないけれど真正面に見下ろす彼は悪戯小僧のように、良からぬ事を企む悪い顔をしてた。
それでも少し期待してしまうのはふたりっきりの旅行だから……?腹を減らした肉食獣のギラついた瞳を見上げればその青は細められて…。
「悪い事言っちゃう子、だーれ?僕の目を見て?」
『事実なんだけどなぁ……?』
「──へぇ…?」
ぼそ、と言った言葉。それはちゃんと耳に届いたようで澄んだ綺麗な青い瞳は見開いた後に再び細められる。そこには清らかさなんてない、想いで視線をこちらに落としていた。
「朝っぱらからえっち、しちゃおうか?」
『……ごめんて、昨日悟いっぱい出したじゃん!だから…朝からするのってどうなのさ?』
思い出せば昨晩、最初に私の口でたくさん出して、次に数度両太ももで挟んでお腹の上にびゅるびゅると撒き散らして。
飲み込んだ量と拭った量は合わせても結構な量だろうに、それでも硬さと角度が変わらない悟とゴムをして、互いに横になってしてた。
痛くないように、奥を刺激しないように。そして、私があまりにも気持ちよくなりすぎないようにと配慮したセックス。
終わった後の根本を縛ったゴムにも悟の白濁の体液は蓄えられていて、あの回数をしたならしばらくは落ち着くだろ……なんて思ってた愚かな自分。
『ね?』と諦めさせたい同意を求める声を聞こえているハズの悟はうんともすんとも言わない。
目の前で組み敷く彼のはだけた浴衣。下半身の例のモノを覆う下着はつん、とこちらに向かって元気に布生地を伸ばしてる……まあ、絶倫!
しません、なんて選択肢は悟にはないみたい。
目の前の狼の脳内にはヤる事でいっぱいなのか。片手が私の頭上に伸ばされてる。かさ、と僅かな個装の音。もう待てなんて出来ない。彼の目の前には逃げられない子羊が居るのだし。
笑窪を見せ「昨日は昨日、今日は今日。丁度勃ってるしイイよね?」とまず本日のプランの前に朝の運動が決定してしまった。