第36章 私達だけの世界
『でも、五日も悟とずっと一緒に居られるのは私は嬉しいかなー…沖縄にデートにいってプロポーズ受けた時だって三日間だったでしょ?あの楽しかった時に今回は二日もプラスしてんだよ、沖縄の時よりも悟ともっと居られるって事じゃん!』
あの忘れられない旅行よりも長く居るって事!今回、綺麗な南国の海も大きな水族館も無いけれど……。
でも、一緒に居られる事とゆっくり過ごせる旅行なんだ…!
そう嬉しい気持ちを込めながらも撫でる悟を覗き込む。
「ファー…ブルスコ…ファー」
『あ、撫ですぎて壊れたファービー化してらあ…』
さっき私が言ったこと耳に入ってないんじゃないの?ってくらいにはちみつみたいに甘く蕩けてる彼を見て私はあははっ!って笑った。
幸せの絶頂に何度も登頂して、その頂きの高さを更新していく。きっと、この先もっともっと幸せなんだろうな、と思えば嬉しくて泣きそうになってくる。
同棲は付き合う前からしてるようなもんだし、今思えばその頃から私は幸せだったのかもしれない。その幸せの中でここまでやってきた道のりは全てが上手く行き過ぎたって事はなかった。
曲がりくねって遠回りして、数歩下がってがけ崩れとか遭ったような困難ばかりの獣道だったけれども。頂点に行けば絶景っていうか、達成感っていうか……一言でいえばこの胸にあるのは幸福感。もちろん、性格が駄目な人だからイラつく時も多々あるけれど一緒に過ごしていく中で幸せがずっと続いている。
前髪や側頭部をさらさらと撫で、時々お気に入りの後頭部のジョリジョリとした短髪部分で遊ぶように撫でて夢中になっていると、しばらく口を開かずされるがままだった悟が眠そうに口を開いた。
「……ハルカー、」
『ん、なぁに…?』
埋めた顔を上げて、ずし、と肩に乗るのは悟の顎。
「ねー……今晩ちょっとだけえっちしよ…?」
『別に良いけど私、部屋からゴム持ってきてないんだけど…?』
どうしてもというのなら近くのコンビニまで旅館の車で行ってもらって買って来るか、今日は我慢してレンタカーがこの旅館まで納車してくれる明日に買いに行くか。
以前は毎日のようにしてたのが、今は私の状態を確認して心身共に大丈夫ならする、という夜の事情。
悟が言葉を発する度に喉が密着してる事もあり、肩がびりびりと振動を受けてる。髪が触れるとは違う刺激がちょっとくすぐったい。