第35章 縛りの儀
実際に普段からふざけつつも甘えたりはしているけれどさ。いや、上手く甘えられているか私自身分からないけれど、甘えているつもりなの。
主に悟からのスキンシップが多く、それに合わせるみたいに私も彼に甘えてる。触れたい、体温を共有したい、香りに包まれたい、より近くで声を聞きたい、視線を独り占めしたいって。
甘えるのを受け入れる為に、ではなく私からもしたいという事。これは任務も無い新婚旅行にうってつけの予告だよ。バットを握っていたら彼に向けて言っていたかもしれないホームラン予告。これからの旅行の目標。
顔をしかめるを通り越し、下唇を噛んで自身の胸元の服を掴み、悶える悟。
「ン゙ッ、ン゙ン゙~~!」
『うわぁ…』
呻く悟に少しばかり引く私。いつもの発作かなあ、と心配になりながらも彼の顔を覗く。瞼をぎゅっと閉じ、ンン…、と呻きながら眉間を引くつかせていた。
『エヴィリバディ?』
「……パッションじゃない」
『忘れもしませぬ?』
「リンボでもないよ……?
僕の奥さん…いや可愛い猫チャンの最終兵器を直接食らっちゃったの!甘えちゃ駄目なんて僕が言うわけないじゃん、むしろどんどん来て欲しいのにっ!
もー、どうしてこうやって急に煽ってくるのっ!コアラみたいにずっとオマエにしがみつくよっ!?困らせてあげようか、この~っ!」
言い切った後にぎゅう、と抱きつく悟。そんな悟に私もぎゅう、と抱きつき新幹線の周囲の視線の無い中で悟の髪で時々くすぐったさを感じながら、私は堪えきれず笑い、彼の胸元でぐりぐりと頬をたくさん擦った。