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【呪術廻戦】白銀の鎹【五条悟】

第35章 縛りの儀


342.

『でゅわぁ~…超っ緊張するー……!』

着替えも化粧も終わらせて控室で呼ばれるその時を待ちながら、スタッフもなにやら忙しそうで部屋から出ていき、ようやくひとりになった私。小さな震えとドキドキが止まらん…!

先程まで、父親と兄夫婦、そして昔からの友人たちと「直接会うのは久しぶり!」と語り合い、そして「結婚と妊娠早すぎなんだよ、こちとら恋人居る事を知ったくらいで今日の展開は予想外すぎたわ、展開早すぎだ馬鹿!そしておめでとうだコンチクショー!」と怒られてしまった。

そう言われるのは仕方ない…。連絡は携帯で出来るけれどさ、非術師である友人と私達で直接会うことが難しく、またこの"見える"と"見えない"の壁は厚く。どうしても呪いという存在を、呪術師であるという立場を漏らさずにごまかすのが大変だった。術師で非術師との関係保つのが大変っていうの、身に染みるね……。

その懐かしい皆の居る中にタキシードに着替え終えた悟が登場し、ちょっと黄色い声を掛けられながら固まった彼は直ぐに出ていく始末。
父が「悟君…?」と急いで追いかけ連れてくると涙を流して泣いていた。なんか、「デデニープリンセスシリーズに入れてくれってウォルトデデニー社に直談判しに行くぅ……」と嗚咽混じりの言葉でさ~…(これには黄色い声を上げた友人達は皆、口元を引きつらせていた)

泣いてしまった彼の化粧直しに悟は新郎用の控室へ。早く会いたいなってどきどきとしながらに悟を待っていたのだけれど。
コンコン、というノックに私はその方向を向いた。悟かな?式場スタッフかな?

『はぁーい』

座ったままそう言えばガチャ、とドアが開き、控えめな男がドアを開けてきた。悟かと思ったら違う人……挙動不審な彼はここのスタッフかな?という印象を受ける。

「五条ハルカ様。お時間の前に少々、やるべきことがございますので私に付いてきてくれませんか?」

『……?あれ、少し前のスタッフさんには彼と準備が終わったらドア前で待機って言われたんですけれど……、』

私ひとり…?悟は……?なにか言えなさそうに「それは…、」と言い淀むスタッフ。言えない事情があると見てそこで私は悟の何度か言われているとある言葉が頭に思い浮かんだ。

──そういえば悟、教会での結婚式で"サプライズ"を用意してるって言ってたっけ。
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