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【呪術廻戦】白銀の鎹【五条悟】

第35章 縛りの儀


唇から少し口内に入る久しぶりの味に懐かしさを感じながらも金箔の貼られた朱色の杯を悟へと引き継ぐ際、二度目の中の杯に口を付け終わり三度目の大きな杯…本番へとなった時にハッと気がつく。

……隣でぐい、と唇を付ける以上に飲んでいる仕草。ごきゅ、と嚥下する音。そんな細かな演技をする彼じゃない、むしろ大根役者な方なんだけど……この人…明らかにフリじゃないぞ?

視界の狭まる綿帽子。隣の悟の顔を見上げれば既に酔いが回り始めているのか顔がほんのりと赤くなってる。
あのさぁ…悟、自他共に認める下戸だってのに、お神酒…思い切り飲んでません……?

私が大きな杯も同じく唇をつけた後に残りを飲み干す悟の姿。その場からは拍手が起きたけれど、ちら、と見た時に伏黒や真希は動揺していた。囁きあってるのは、酒駄目じゃなかった?と互いに下戸であろう彼の苦手なものの確認。
きっと、私も彼らみたいにいつもと違う悟に見る人からしたら動揺していたんだと思う……、隣で座りながら服装で顔は見えにくくなっているけれど。

そんな事があり、そして立ち上がったり歩いたりという動作を挟む、食事の場への移動でよりアルコールが全身に回って酔いが回ってきてる悟。

これは流石にマズイのでは。
酒に弱くても私と同じく口を付ける程度で良かっただろうに、掴んだ手はぽかぽかと暖かく、やや私側に体重が掛かるような……バランスを時折崩してるし!

『なんでお酒、がぶ飲みしちゃうのかなあ~……弱いの分かっててさあ…?』

以前、ふざけてるのか本気でなのか酔った悟を運んだ事があったけど。あの時はリキュールの炭酸割りをひとくち飲んでの酔い方だった。でも今回は度数も高く、また結構な量を何度も口にしてる。こんな悟は初めて遭遇する……。

心配になりながらに会場の特設席に悟を支えつつゆっくりと座らせると少しばかり眠そうな目元でゆっくりと数度、瞬いた。ここで寝られては困る、挨拶だとかあるんだしせめて歓談までは目ぇ開けててよ~…!

ふにゃあ…、とただでさえ整った表情をとろけるような笑みを浮かべる表情。頬も赤いから見る者のハートを射抜くような破壊力がある。
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