第5章 "好き"が止まらない!
「いいのいいの。学校とカウンセラー?頑張ってね。私は彼氏…ああ、ケイタの友達が出会いが欲しいって言うから今回合コンやろうって事になったんだけれどさー、」
あの真面目君がケイタね、と最近授業で頭の領域がパンパンな所(気がするだけなんだけれど)に、友人の彼の名をちょっとだけ記憶した。
洗面台の前。化粧直しをしながら少しだけ他愛のない会話をして、私達ふたりは席に戻る。
……合コンの席は変わらず賑やかのようで。
手を振るケイタに小走りに駆け寄っていく友人。仲が良さそうでなにより。ふたりはとても良い関係が築けているんだな…。
「お待たせー!ケイタぁ~そういえばあんた会社のさー、」
きゃいきゃいと楽しげにケイタと話し始める友人を見て、自分の席の椅子を引いて座る。
席に戻ると私の目の前には頼んだウーロンハイとお冷が来てる。
うんうん、次回にご期待くださいって所だな…氷で薄まらないうちにウーロンハイ飲も、と手にとった時だった。
パン、と私の左肩に誰かの手が置かれる。
衝撃でグラスの氷がカランと暴れた、一体何事だ?
隣の子がなにかを見上げてきゃあ!と黄色い悲鳴を上げた。
何があったんだ?モニタリングか?一般人のドッキリ?と両手で口元を隠してる右隣の子を見る。なんだその顔は、芸能人でも居るの?という乙女全開の表情。私も遅れて、私の左肩に手を置かれているので左側を向いた。
──そこには見慣れたある意味有名人がすぐ側に立って微笑んでいる。
その微笑みは普通ならばレディ・キラー。私にとっては慣れてしまっていてきらきらとした背景を背負ったような"五条悟"を見てつい嫌な表情を出してしまった。まさかこんな所に悟がいる…だなんて。想像がつかなかったし。
『……げぇっ!なんでここに居るの?悟』
いつもよりも色の薄いサングラスのどこかに出掛けていたかの様なよそ行きの服装でにこにことしてこちらを見ている悟。てっきり部屋に籠もってるのかと思ってたのに。安心してたのに。
賑やかな空間が静まり、周囲の席からはひそひそとつぶやかれる声が聞こえる。気付かない奥の他の客席はわいわいと賑やかなままだけれど。
私の質問に悟は笑顔のままに答えた。