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【呪術廻戦】白銀の鎹【五条悟】

第34章 その男の名は……。


許嫁と聞いて凍りついた気分になった。
そっか…私も許嫁居たし悟にも居たんだよね……その相手なんだ……、と気持ちが少しずつ沈んでいく。相手がしつこくコンタクトを取ろうとしてるんだ、それは彼への未練に違いない。
あまり私にこの件は言いたくなかったんだろう、悟は困った顔をしてる。

「つってもかなり前に振ってんの。十年も前の話だぜ?
僕もさー、頭のどこかにオマエの面影が残ってて許嫁のコイツじゃないって心の底で感じてたし、家が決めた相手じゃなくて僕の意思で好きになった子と自由恋愛したかったしさ。相手も最初は僕との分かれを拒絶して、関係を断とうとする僕を引き留めようとしてたけど……。
最終的にあの子も僕は僕、あいつはあいつの人生をって受け入れたハズなんだけどなあ…」

ごくり、と固唾を呑む。マリパどころじゃないんだけど。
私は何度も"私には五条悟は持て余す"……なんて思ってもったいない、釣り合わないと自身に自信を持てなかった時もあった。けれど、ここまで一緒に居て、楽しくて、本気で愛してしまった挙げ句、お腹には悟の子を宿す関係になっているんだ。
……今更、悟をよこせ、なんて元許婚の女であっても許せるわけがないじゃん。

『つまり悟、復縁迫られてんの?』

出来るだけ冷静になりながらも、心の奥底の黒いモノを表に出さないように。
私の感情とは正反対に悟はにこ、と笑う。

「うん、そういう事。でも僕、既にハルカと籍入れてるし子供だって秋に生まれるんだ。
例えまだ子供が出来ていなくても、オマエと籍を入れる前でまだただの恋人の関係だったとしても。僕は人に決められた相手とは一緒にはならないかなー、オマエの事が好きなんだし!」

笑い声交じりに軽くそういうと、ソファー前のローテーブル上からコーラの入ったグラスを手に、氷をかろんと鳴らして飲んでる悟。その上下する喉仏を見つめていればグラスを持ちながらくすっ、と笑う彼。「……なに見てんの、えっち」とふざけてる。
コントローラーをテーブルに静かにコト、と置いた私は隣の悟を見上げた。飲み物を飲むために一時的に離れてた悟はまだコーラの入ったグラスを置いて微笑みながら私を見つめてる。

『相手に言ったの?結婚してるって事とか……』
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