第34章 その男の名は……。
互いに手が開いたタイミングでふと皿を見ればフルーツサンドはあとひとつだけ。分厚い三度はお皿にみっつ乗っかっていたから互いにひとつずつ食べたら自然とひとつ残るよね。
確かにあっという間に消えるくらいに美味しかったなー…と、彼の提案に頷くと「ええっ!?」と大げさに驚く悟。
「母体からへその緒を通して胎児に栄養を送るっていうけれどさあ~…、」
私の目からすっ…、と胸元、そして体を傾けて技と腹部を見た悟。
「……食べれば食べるほどに太るぞ~?」
『なら聞くな~~?
いいよ、もう。もう一皿頼んで分けよう、悟も食べるの手伝って!』
サンドではなく空気で頬を膨らませていれば彼は吹き出すようにして笑う。
「追加で頼むから、最後のはオマエが食べな」と譲られて私の手に強制的に悟によって持たされたフルーツサンド。手を挙げスタッフを呼んだ悟は注文をした時に皿を重ねて下げてもらってる。
スタッフが下がってからくるりとこちらを見てもう一度笑顔を見せる彼。
「さっ!子供の名前の案、今すぐ決まらなくてもたくさん出そっ!かっこいい名前なら任せろーっ、ここに普通の辞書に、ノムリッシュ辞典もあるよ!あとファンタジー図鑑!」
『……子供の名前をファンタジーにすな』
テーブルに両肘を置き前のめりな悟。どこから出したんだか、机の下から「どーん!」と言いながら何冊かの分厚い本を出し始める彼に私は吹き出しかけてしまった。