第34章 その男の名は……。
「僕が話してたのはお腹に居る男の子の名前をどうするかっちゅう話なんだけど。
えっちとかは寝る前にちょこっとするくらいで無理に迫んないよ~、僕をなんだと思ってんの?」
『……性欲の具現化したその塊を二メートルくらいに引き伸ばした五条悟?』
「オマエね~……バッキバキのちんこ咥えさすぞ?」
なんだ、えっちの事かと思ったわ!そうならそうと言え~?主語が抜けてんよ、主語が!と安心して私は椅子からゆっくりと立ち上がる。釣られて悟も床にしゃがんでたのを立ち上がって、言わずとも一緒にキッチン前へと進む足。
流れは夕飯の支度。今日は何しようかな……、話し合うのは料理ではなく子供の名前を決める前の事。
「今日だけで決まるか分からないけど、死ぬまで呼ばれる大事な名前だから真剣に考えようね?くれぐれも夜露死苦君とか多田滅茶見手来とか学校で後ろ指指されるような名前にしないようにさ?」
……多田滅茶見手来は苗字含まれてますよ?名前だけなら正しくは滅茶見手来では?
けれど悟なりに真面目になろうとしてるのは分かる。以前からネタだとは思うけれどここは念を押して絶対にふざけた名前にするな、と例を出しておこうっと!
調理台に両手を着き、隣の彼を見上げながら片手で悟の胸元をぷすっ、と指先で突く。
『うんうん、だから五条勝は止めとけよ~?投票の度に学級委員長だとか生徒会長だとかナンバーワンをかっ攫っていくからね~?』
アイマスクをポケットにしまい、両腕の袖を肘までまくった悟はにこ、と笑いながらまな板を取り出した。
はいはい、じゃあこっちは戸棚から包丁を出すわ、と包丁をまな板に置き、彼を見上げればドヤ顔で自身を親指で指す悟。
「悟、とかどうかな!?天才最強、イケメンかつ高身長に育つとは思わなーい?」
『この人正気かなあ…(この人正気かなあ…)』
心に思ったままに呟けば彼はドヤ顔のままにまた案をひねり出す。やめろ、無駄にイケメンというスキルをここで使っても意味無いんだからね?