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【呪術廻戦】白銀の鎹【五条悟】

第33章 これは終わりではなく始まりの刻


隣の部屋へ行きましょう、と龍太郎が皆に声を掛けてそれを合図にぞろぞろと向かい、主の部屋で悟が突然しゃがむ。畳に触れて、その縁に指を掛けて持ち上げて畳を片面起こせば、明らかに蓋と思われる古い木板。彼はヒュウ♪と口笛を鳴らした。

「ビンゴ!ってかこういう隠し通路とか忍者屋敷みたい!オラ、ワクワクすっぞ!」
「そこ、ふざけんな!」

私みたいなやり取りを見せられつつ、悟が起こした畳を龍太郎が壁に運んで立て掛けて、まだ隠されているだろう、板を隠す畳側をがこ、と持ち上げて。
その全容が明らかになり、またその畳を龍太郎が立て掛け終わることに板を持って立ち上がった悟が「はい、これも」とその二畳斜めに立てかけられた所に年季の入った板を更に立て掛けた。
隠されたものが久しぶりの外気に晒されてるのをそっとマリアと共に覗き込む。
……暗い。深淵が家の中に表れて、入れ替わる空気と共に嫌な気配を運んでくる。

呪物の側に近付くという事は危険であるのは変わりないから、そこは一番安全な悟の側に居れば良い。彼についていくのは今の私にとっての最適な行動じゃないのかなって私は考えてる。

……私はこの主の間の下へと降りていくつもり。
生まれを選べずとも、春日家の人間としてのやるべきことはなにもしてこなかったけれど、墓じまいでもするような後始末をせめてしなくちゃね。
見届けなくっちゃいけないんだ。それが、責任を逃れて今まで死んでいった春日の者と、私から見放された祖母…ヨミの尻拭いでもある。
いずれは誰かがやる、その誰かは私なんだよ…お腹の子らに任せたくなんかないもん。

──私は領域で追放され、なかったものとされるような、責任から逃れる事はしたくない。

皆が穴を覗き込んでる。どれくらいの深さなんだろうって歌姫や龍太郎がやりとりをしている中で、悟は私をじっくり見てからマリアや歌姫、コトリバコに影響を受けやすい二人を見て頷いた。

「ハルカがヨミの持っていた術式の譲渡。これが使えればマリアや歌姫をコトリバコの呪いをはねのけるように出来たであろう方法だったけど。ここはこの部屋での留守番だね~……、僕はハルカ以外の責任は取れないし」

「そうさせて貰うわ…、ハルカに影響無くてもハッカイが三つもあるとかヤバ過ぎるでしょ……特級呪物よ?普通、特級呪物に遭遇ってそうあるものじゃないもの」
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