第33章 これは終わりではなく始まりの刻
身体を傷付けずとも鋭く尖った言葉が祖母に降り注ぐ。ただ俯くその人はそっと、ひとりの女を指す。
"私だけではない。私の祖母もだ、家守(やもり)という役職は私で四代目!私の祖母は三代目だ!"
"ヨミ!お前は!!秘匿すべき事柄をそうやすやすと話すなど……っ!"
責任転嫁というか、勝手に情報を漏らしあっていくのを見て、生きている私達は皆顔を合わせた。
……罵倒し合う"家守"という役職の三代目と四代目の言い争い。罵声と共に耳に入ってくるのはそのコトリバコの始まり。そして呪いの送り合いについて。責任を末代へと押し付け、自身は先に死ぬという事。その死は身代わりとしての死と同等である、尊いことである、なんて事。
ただでさえ狂った血が流れてるのに、"家守"という役を持った人達は飛び抜けて狂ってた。
『………』
「とりあえず、僕らが入る隙が無さそうだ。少し落ち着くまでああさせておこうか……」
『ん、そだね……、なんていうか、そりゃあ書物とかにも載せられないような事についての言い争いだしね…』
なんて馬鹿げた争いをしてるんだろうって思いながら、家守以外にも鎹や今まで静かにしていた叔母達も騒ぐ姿を見ていたらなんか力が抜けてきた……。
頭が痛くなりそうな女達の高音での争いを耳にしながら、私達は少し離れた倒れた墓石や棺桶の側で座り、情報の整理を始めた。