第33章 これは終わりではなく始まりの刻
「そっ!じゃあ、そこのトリオはこの場に留守番して貰ってー…春日家であるオマエは必須。常在する龍太郎ももちろん行くべきだろうね、被害を受けたマリアも必要だ、あんなにうじゃうじゃ居るんだからひとりくらい留まり続ける腹の呪いを解呪出来る人が居るかも知れないし。
あ、歌姫はどうする?日中と帳の狭間って感じの領域へのプチ旅行に着いてく~?」
ンなどこでもドアでの旅行みたいにさあ~…。一応、物騒な処刑場でもあるのだけれど、のんきな彼の誘いに少し嫌そうな表情をした歌姫。
「ここまで来たんだし着いてくわよっ!そもそも、報告をする・しないに限らずこっちの区域の問題だし主にこっちで活動してる呪術師もこの事態を把握しておかないといけないでしょ」
「しょうがないなー、じゃあ歌姫も行くとして。ここじゃなんだからとりあえず庭にでも集まろっか!ほら、足の裏にささくれ刺さった!とかヤじゃん、あそこ治安悪いし。
まっ。僕に至っては3ミリ浮いているから平気だけどっ!このまま汚れても良いなら素足で良いんじゃない?」
常時浮いてるってドラえもんかよ、と嘘か真か分からない悟の言葉を受けて彼をジトー…と少し疑いを込めた視線で見上げる。
『優しいんだか優しくないんだか…わっかんねえドラえもんだなあ……』
「僕はいつでも優しいよっ!」
そうしてドラえもんの助言を受けて私達の誰もが靴は履いておこう、と玄関より改めて靴を履き、庭に集まった五人。
三分でも経ったのか、それとも真面目モードがプツンと切れてしまったのか。両手を腰に当てた悟は突然敬礼をし「整列!番号、いーち!」と号令を始めるも誰もノらない。そりゃあ、ここに虎杖が居たり、私もお酒でも入って楽しい気分ならノッてただろうけどさー……。
もう一度番号!と繰り返した所で私はそのテンションが空振りをして可哀想な彼の背をとん、と優しく叩く。
構って貰えた!と明るくなった口元の弧。その笑みを見て私も少しばかり微笑んで。