第33章 これは終わりではなく始まりの刻
「ちょ、ごめんって!うわ、マジで引っ張ってる!?龍太郎にマリアもごめんね~?ちょっと僕が夜な夜なデコとボコのもじぴったんパズルしてんだろうなって話を始めちゃったから、」
『チッ、反省してねえな??玉砂利上のスケキヨにしてやんよ!』
「わーっ、ごめんごめんマジオマエキレたら技掛けてくんだからっ!もうしません!えっちな話題はストップすっから!」
ズッ、ズズ……と座卓が悟を引き摺り、私がその引き摺ってる彼を縁側へと引っ張ろうとするもんだから十センチ程悟と共に座卓を引っ張った。
そこで多少はやりすぎたか?と引っ張るのを止めて。心拍数の変わらない彼を開放し、座卓を私と悟、歌姫で押して戻して。
『……で、そのデリケートな話題をカットして、話を戻すけど。隣の部屋がなんだって?』
ほれ、話を戻して続けろ、と顎でしゃくると不服そうにぴろ、と下唇を出して舌を出したから『あ?』と一度舌打ちをすると慌てて引っ込む舌。
……相当構って欲しいと見た。今じゃなくても部屋で後で構うから、今は真面目になって欲しいんだけれどなぁ…。
ふざけた雰囲気を切り替え、俯いてたふたりも顔を上げた頃。松竹梅も壁沿いに真剣な顔して立ち、歌姫もじっとして耳を傾ける中で悟は道草しまくりな無駄話から本題にとようやく入る……口元はニヤケてるけれど。
呪術を使うわけでもなく、ぴっ、と二本指で隣を指した彼。
「うっすらと、だけどさー……その部屋の地下になにか隠してんのが視えるのよ。それ、龍太郎が管理してんの?いまんとこ、封印は解けてないみたいだけどさ」
「──…えっ?」
驚いた顔をした龍太郎は凄い勢いでぶんぶんと音が出そうなくらいに首を振る。それは演技ではなく本当に知らなかった、という反応に見えた。
使用人として本日(何日か単位かもだけど)来てる松竹梅も何がなんだか、と互いに顔を見合わせてる。
……この部屋に今居る人間しかこの敷地内に居ない。その皆が初めて知った、という反応の中で本日初めて春日家にやってきた歌姫は悟に「ちょっと、」と詳しく聞こうとしていた。
「管理って事は春日家の呪物とか呪具があるって事?」