第33章 これは終わりではなく始まりの刻
やがて私有地道路を中心に森を割ったような視界の先に門と建物の塀が見え、屋根、家の壁などが見えてくる。減速しながらに門前でぐるり、と車を回して私達が帰る際にそのまま直進すれば元の道を行けるようにとしてくれたマリアは、車のギアを入れ「着きましたよ」とエンジンを切った。
「私への同行は門前までで良いですか?」
門前で彼女が降り、この後の運転については私達三人の中からひとり運転席に移ってそのまま高専に帰って、また翌朝調査として迎えに来れば良いわけ。
けどまずは第一回目なのだし、龍太郎や五条家の人達が居るのだから、せっかくだし春日家に寄ったのだから久しぶりに話や中の様子は見ておかないと。
『……いえ、少し上がって行きます』
「そうですか…では、車はこの辺に停めておきますね、鍵はどなたにお渡し致しましょう?」
「じゃあ僕が貰っとく。ハルカも歌姫も運転席に座れば、ハチロク感覚でナイトオブファイヤー流してハンドル握る、頭文字Gと頭文字Uだから」
「豆腐屋の息子じゃないわよっ」
チッ、と舌打ちした歌姫をどうどう、と抑えつつ悟に『峠を攻めねえよ??』と突っ込んでおく。運転中歌姫に殴られかねない事を言うんじゃない、この人は…もうっ!
私達四人が高専から借りた車から降り、エンジン音や直ぐに降りながった事などで嗅ぎつけたのか、急ぎ足でやってきた人達。見えてきたのは五条家から数人、定期的に来てもらっている子達。
多分、私達四人…いや三人は、"マリアと同じ状況ではないか?"と確認するように近付いてくる彼女達の胸元や腹部を見てる。私から見てもマリアのように呪われてるようには見えないのだけれど……。
「おかえりなさいませ!」
『あっ、』
松竹梅のトリオじゃん。下げてた頭が上がった時ににた、と笑った竹&梅。その頭をパン、とツッコミを入れるように叩くは長女である松。
そんな三人を見てると、奥の方から小走りで向かってくるスーツを来た男。この家の管理を住みながらに任せている龍太郎がやってきた。
「ほら、あんたのナイトが迎えに来てくれたわよ?」
「違いますって…っ!」
肘で小突く歌姫にやや照れ気味なマリア。そんな短いやり取りが終わった辺りで門に集合した私達。ふたりのやりとりを見て理解が出来ていない龍太郎は不思議そうに私と悟を交互に見ている。