第33章 これは終わりではなく始まりの刻
上にぶら下がる売り場プレートを指差し2つ先の通路を指してる悟。この人、いくらなんでも自由過ぎるんですけど。
マカロニかあ……、確か前に保存の効くものって乾麺とか粉ものとか色々買い込んでたから、マカロニも二袋くらいは余裕であるはず。グラタンだけじゃなくてサラダにもしてたし……。
寮の台所事情を思い出しながらうんうん頷いた。マリア周りを見ながらだから、彼女はやりとりを立ち止まって見て目を瞬いてる。
『マカロニィ~?……うん確か予備があったけど……。
いや、待ってこの流れで普通在庫確認するかな~?確かにマリアに同行するけどさ?スーパーに買い物に来たんじゃねえよ?緊張感を持ちなよ、緊張感。知ってる?五条悟の辞書に緊張感って載ってる?アップデートしてる?緊張感って言葉こっちで調べてあげようか?』
「えー…だって今日来たばっかで食材買いにまた外行くの面倒くせえもん。襲撃されないかちゃんと見ながら買い物してるからヘーキヘーキ!ハクナマタタ、だよー?」
呑気なジャングルトリオの気分の悟。
アイマスク下の口元でにこにことしながらブロッコリーを片手に取って『袋入れてー』とそのままブロッコリーをパスされた。仕方ねえなあ…とロール状の薄手の袋を一枚取りしぶしぶ入れてると店内にふわ、と風が舞う。軽い商品が什器からバラバラと落ちてちょうど商品入れ替えをしていた店員が慌ててそれを乗せ直していた。
「ほら、もちろん呪いが近付けば祓ってるし!仕事きっちり~…だよ?」
グギャ…、と短い声と私に近付こうとしてた呪いの紫色の血が飛び散り、降り掛かる手前で消えていく。掛かるのを覚悟して片腕で防ごうとして、何事もなかったから手を降ろして。私と反対側に居た歌姫はその消えていった呪いが居た場所を見て、悟へ顔を向けた。
「マリアにではなくハルカにホイホイされた低級の呪いね。そもそも術式はおろか、強い呪力を持ってるわけでもなかった」
「まあ、僕の眼に捕らえられる範囲でもこのスーパーにはさっきみたいの程度かな。まっ、気は抜かずにショッピングを楽しもうずぇっ!」
「はぁー…あんたねえ……」