第33章 これは終わりではなく始まりの刻
「草。もー…そんなに僕をアゲなくてもー!」
『……アゲてないんだなあ、これが!普通に遅刻マンからせっかちマンにフォルムチェンジしたのにただ驚いてるだけだかんね?』
「おーおー、さえずるね~?ただいまのチュウをここですんぞ~?いいのかな~?ラバーカップばりに強力なのするよー、チュンバッ!って音立ててキスすっからな?」
ヤンキーのようにオラつく悟。
確かにさ、悟と部屋でふたりきりの時にいってらっしゃい、いってきますと、おかえり、ただいまのキスとハグも好きだよ?でもさ、人前かつダイソンばりの吸引力のあるキスはちょっとね、ご遠慮したいかなって…。
想像してみる。
うん、ゾワワ…と粟立つ肌……リームーだわ!
『やめて、キショイ』
「キショイとかドイヒー、僕キミの旦那さんなんですけど??」
しつこい絡みムードになり始めたな、よし。行くのならとっととマリアに同行しよっと。
悟から視線をマリアに向けていれば、歌姫も同じくマリアを見ていた。切り替えだ切り替え。いつまでもコントみたいな事やってられっか!
行動開始を読み取った歌姫はマリアの背をとん、と優しく触れていた。
「じゃあマリア、あなたこのまま早退でしょう?いつもの感じで高専から出ていくように。私達も同行するから」
強気に笑う歌姫がとん、と自身の胸に手を当ててるのを見上げたマリア。
彼女は椅子からゆっくりと立ち上がる。私の視界には口をキスの状態で尖らせた状態で固まってる悟。そんな彼を私は見てしまったけれど誰もツッコまず悟はひとりだるまさんが転んだをしてる……。
「はい、皆様、急だというのにすみません……、ではこのまま春日家へ帰るという体で私は車庫に向かいます」
「買い物とかは?いつも寄るお店とか」
「じゃあ、そうですね…、寄りながらで。寄り道となると時間を頂きますが大丈夫でしたか?」
歌姫と視線を合わせ『大丈夫です?』に「私は大丈夫よ、連絡を入れておけば」とやり取りをしあう。衣擦れの音が聞こえるのは視界の外の構ってちゃんが騒いでるんだと思います、まる。