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【呪術廻戦】白銀の鎹【五条悟】

第33章 これは終わりではなく始まりの刻


すぅ、と目の前の彼の呼吸の音が聞こえ、心地よい柔らかさが触れ合って体温が混じり合う。数秒、僅かに唾液が交じる程度に押し付けあったようなキスは名残惜しいけれども終わる時が来た。

離れた唇、もう少し悟と触れ合っていたいなって見上げて居れば優しく笑った悟。
その後に悟の服をぎゅっと掴みながら抱きつけば彼も負けじとぎゅうっ、としっかり抱きしめ、無言でお互いにきつく抱き合った。
今だけは何も怖くないくらいに安心できるって、包まれる香りと体温が愛おしい。でもさ、今から悟はこっちに一緒に来て良いって約束をした関西方面の任務に行くんだ。

……そこはさ、一応彼の奥さんとしてちゃんと送り出さないといけないよね。この人は私だけのものじゃない、呪術師の要なんだから。

『悟、余裕ぶっこいて油断して怪我しないようにね?』

「ふふん、誰に言ってんのさ?油断しても怪我なんてするワケねえだろ?だって天才で最強で、部屋に帰ればこんなに可愛い奥さんと、そのお腹の赤ちゃんだってパパの帰りを待ってるんだし。
何よりも奥さんのこの特級レベルに強力な、行ってきますのお呪い(おまじない)が僕をいつだって守ってくれてるんだぜ?怪我の方が僕を避けていくもんねー!」

ぎゅううっ、と抱きしめる悟の力は強く、首筋で深呼吸をしている悟。
……なんか、パニックホラーものでフラグを立てる男のような発言だった気がしますけど…?
逆に私が悟を心配するような事を言わないで欲しいんですがね…。

『……世間ではそれをフラグって言うんだよ、緊張感を忘れないように』

「んー…分かった。怪我なく帰ってきたら、こうやってぎゅーって迎えに来てね?……あ、その前に僕はちゃんと手洗いうがいを済ませておくからね??アンダスタン?」

クスクスと抱き合ったまま、顔が見えないままに笑った後に名残惜しくも衣服沿いに交わっていた体温がゆっくりと離れていく。少しだけ、互いの顔を見つめ合って。
悟が何かを待ってるように笑っていたから、あの急に居なくなった時の事を思い出し、二度とあんな寂しい思いをしたくないって彼にひとつ、注意をした。
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