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【呪術廻戦】白銀の鎹【五条悟】

第33章 これは終わりではなく始まりの刻


318.

ガラガラと駅構内に響き渡る転がるキャスターの音。荷物の入った硬質なバッグを引くのは私……ではなく、悟。

ここは駅。今から新幹線に乗って京都に向かうのだけれど、今回は向こうから歌姫が来るのではなく、悟が向こうで一日仕事をする……という体で彼も朝からこうして共に来てくれる事となったのでして。
私服姿でふたり並んで京都に向かっての移動中。終始私の斜め上で整った顔に笑顔を浮かべながら、空いた手で私の腰に手を回して進行方向に軽く押してる彼は早朝から元気そのもの。
すれ違う前から独り言の多いお婆さんに「仲の良い事~」って視線で追われて笑われてしまった。
はしゃぐ悟はまるでデートの最中のように、または遠足でテンションがぶち上がった子供のように色んなものに反応をする。

「ハルカハルカハルカ、見て見て、駅弁売ってるよ、万世のカツサンド!」
『あー、うん売ってんねえ…、ソースが男の子の味ね~』
「それな?よし、買おっか!お供にワザとらしいメロン味なメロンソーダー!
他何かいる?あ、東京弁当あるよっ!買っておこうか、色々入って健康に良さそうだし!そうすっぺか!買った!」

この人意見聞かずに行動してるよ、勢いすげえな…そうすっぺ、て。
パキン、と指を鳴らした悟。改札じゃなく駅弁屋に私の背が押される。発車の時間もあるし流石に遅刻魔の悟もそこは気にして、あまり時間を掛けずに飲み物とお弁当を買った。
買った物をバッグの上部に乗せてガラガラとまたキャスターを鳴らしながら改札方向へ並んで歩いて……。

『こっちの方(東京)も忙しいのに、今日一緒に京都まで一緒に来てくれるの、ありがとね、悟』

今の時期は呪術師はそんなに忙しいものじゃないけれど。
ありがとうって気持ちを伝えたら悟は優しい笑みを浮かべ、腰に回した手が優しく背と腰を何度も撫でてる。

「なにさ、アタリマエだろー?オマエは僕の大好きな奥さんなんだし、元気な子供だって居るんだし。キミらをちゃんと守るのが僕の仕事だもん。こんな重い荷物は持たせたくないんだ。
キミをエスコートするのは誰よりもこの僕こそが適任者じゃなーい?」
『ん、確かに悟が適任者だねー』

一緒に居れば安心出来るし彼はとても強い。進行方向を気にしつつ隣を見上げればドヤ顔のグラサン。
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