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【呪術廻戦】白銀の鎹【五条悟】

第33章 これは終わりではなく始まりの刻


隣を見ればずっとご機嫌をキープしてたのに不服そうな顔に変わっていた。このまま見続ければうざ絡みされる未来が見えるので彼から視線を反らし、呪骸を持ち上げてじっと見てる硝子を見ながら、持ち込んだ仕事が進まないな……(大して量があるわけじゃないけど)とのんびりしてる。

悟側へと引き寄せる為に私の肩を掴む彼の大きな手。
悟の方向に体が手で引き寄せられて、「隙ありっ!」と頬に暖かくて柔らかい唇が触れた。以前のように真っ赤になるわけじゃないけれど、硝子の前でのキスだもん。少しばかり恥ずかしいものは恥ずかしい。

『あーもー、そういうのも人前でやらない!』
「ヤですー!だって部屋だけでしかイチャイチャ出来ないなんて、一緒に居られる時間いくらなんでも少なすぎるでしょっ!なんで部屋だけなの、そういう縛りは要らないじゃん!我慢の開放だよ、開放!」
「よくこんなクズに付き合えんな…」

急にお子様スイッチが入った悟は肩を掴む手をするりと首を引き寄せるように。更にもう片腕を前面から首に絡みつくように付け足して……つまりは抱きついている。

ああ、いつもの発作だあ……。これには私もそうだけどこれをよく見ている硝子も流石の呆れた表情をしてた。ぐりぐりと顔を擦り付けながら「もっと時間取れないのかねえ、こういう時間をさー」と嘆く彼。仕方ない、と顎下の片腕に手をかけ、簡単にはこの拘束する腕が外れないのを確認してからもう片手で感覚的に彼の頭上に触れた。
さらふわとした髪越しに頭を撫でる。この甘やかす行動を始めた途端にピタリと摺りつく動作を止めたからこれは正しかった選択のようです。

一連のバカップルとしか見えない関係を見せつけられた硝子。「ありがとう」とカップを渡し、デスクのパソコンから少し離れた場所に片手で移動させていると、「話を変えるよ」と悟に話を振る。

「で、ハルカから写真は見せてもらったけど。その子の性別はまだ分からない感じ?」

そろそろ赤ちゃんに男か女か確認出来始める時期であり、タイミングが良ければ付いてるかどうかで判明するのだとか。
映されるモノクロの世界。その順調に育っている感動の映像の子は見せてくれなかった。簡単には見せられないよって事でもまた次の成長を見る時の楽しみになるから良いんだけどね?
私にしがみつく悟はぴっとりと私の側頭部に頬を付けて「うーん、」と唸ってる。
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