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【呪術廻戦】白銀の鎹【五条悟】

第33章 これは終わりではなく始まりの刻


ジェスチャーというか、自身の頬をぺちぺちと音を立ててる悟。
仕事にもみくちゃにされてMPの減った伊地知にHP攻撃かますのか、この人ぉ……鬼畜やんけ。
彼の袖を摘み、ちょいちょいと私に気を引かせる。「ん?」とこちらに顔を向けた悟の目元を見上げた。

『パワハラすんなよ、落書キッズぅ……』
「パワハラじゃないよ?僕なりの、愛情さ☆」

伊地知がブルリと震えたのが見えたけどこれは悟に言わないでおこう。マジビンタは回避せねば。
機嫌良さげな悟は買い物袋を持ってスタスタと来た時と違い静かに去っていく。帰ったらチキンタイムってお楽しみがあるの、イイネ!
事務室にやっと静寂と、そして再びの修羅場が戻ってきたっていうか。

彼の背を見送った後、はあ、とため息を吐き出しながら、悟と私が書いたろくでもない落書きを修正テープで消すかな~…と筆記用具を見て考えてみたりした。こんなもん、誰かが書類を見直した時に確実に目に止まるでしょ……。

梅昆布茶の入ったマグを手に飲んでいた時、ドタドタとは行かないけど走ってくる足音。さっきも聞いた再びの悪夢の予感。

またもガラッ!と力いっぱいに開け放つドア。そのうちこのドア壊すのでは…?
息を切らせているわけではないけれどやってきた悟は声を上げた。

「忘れてた…っ!」
『なに?大人としての真面目さ?品格?そんなのここに落ちてませんけど?』
「そんなの僕、落としてないけど?持ってるし?落とした覚えないですし~?
ただ落としたのはハルカのは・あ・と」

口を尖らせた悟は手でハートを作って見せて、ジト目で見たら硬直後、ゆっくりと真顔へと変化する表情。スン…と何事も無かったかのように私のデスクの所に寄って来て、新しい報告書の紙を持ち、もう一度ペンを握って。

「今日の報告書を忘れてたんだよねー、いやあ、うっかりうっかり!河童の川流れ、猿も木から落ちる、弘法も筆の誤り……そして五条悟も報告書忘れる、だわ!」
『……そりゃあ、大変な忘れ物だわ。あと変な造語すんな~?』

彼が目の前で書き終わるまで油断をせずに、悟がまた余計な事をしないように見守り、新しい真面目な報告書を受け取ることに成功した。
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