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【呪術廻戦】白銀の鎹【五条悟】

第33章 これは終わりではなく始まりの刻


ケラケラ笑う悟に『早速だけど』と本題に入った。
雑談するために私から電話を掛けたんじゃなくて、仕事のお電話なんですよ、こっちは。悟からの着信は多くが雑談だけどさ。
手元の彼が書いた報告書を一枚、キーボードの上に置き、目を走らせる。まあ、何度見ても可哀想な報告書ですこと!

『あのさ、悟の報告書見たんだけど。三月二十五日のやつね。
なにこれ?抽象的すぎて理解不能だわ、宇宙人が地球に来たてのレポートか?それとも人間になりきれてないぽんぽこ狸か?もっと分かりやすく具体的に書いて頂けません?』

"んー?三月二十五日?なんの任務だっけ?"

明らかにすっとぼけてる声。ただすっとぼけてるなら良いけれどマジで忘れてたらどうしよう…?この報告書の内容をどう広げて解釈すれば良いんだ?
ペラ、とスカスカな報告書を手に取ってその紙面に視線を移す。

『うわー、もう忘れてらっしゃる?

……えー、ザギンのビル、一階のオフィスで三本足の呪霊をひねってパァン!……アンド、END。被害報告は人は大丈夫、でも一軒家のお向かいの塀に穴開けちゃった!…星マーク……って書いてあるんですけど?……空きスペースにうさちゃん。全然理解できんわっ』

"なにそれ記憶にございません!書いといて僕もソレは理解出来ないかもー、思い出せないし僕も年かなあ?"

……チッ、と舌打ちしたら「うそうそ、今思い出すからっ!とりあえず任務終わらせてそっち向かいます!」と慌てる彼の声。
手に持った報告書、これは後回しにしよう。考えるだけ無駄だしこちらに向かっている悟にはなんとか思い出すようにして頂きましょう。その電話の相手の報告書を別の場所に一度置き、次の人の報告書を見る。

乙骨憂太の報告書。利用者の少ない高齢者施設に現れた呪霊を祓った事についてが流し読みしただけでも綺麗に纏めてあり、悟との違いに納得する。分かりやすく、また被害も少なく。
一方悟は……うん…。悟は悟だしな……。そんな事はまだ通話中の相手には零す事は無く。だって拗ねるし。

"ところでさー、コンビニ寄って高専帰るんだけどオマエ、なんか欲しいものある?"

任務後に報告書の不備の修正の為に帰って来るのに道草してくんのかよ、良い根性してんな……と思いながらも頭に思い浮かぶはフライドチキン。
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