第33章 これは終わりではなく始まりの刻
建物やライフラインの破壊、非術師の怪我などの報告があれば別のデータベースに打ち込む。
春休み期間に受けてたであろう、クラスメイト達の報告書が四月である現在の私が打ち込んでいる。一週間くらい前のだ、と周囲を見れば各々書類や資料のビルに囲まれてる。私はこれでも少ない方か~…、七海の「労働とはクソです」という言葉を心の中でリフレインしながらも、どうあがいても初日から残業コースだろ…という量に立ち向かった。
おい、誰かビルの高さ制限みたいに書類にも高さ制限しろ~?
……とまあ、伏黒達の報告書が終わりまして。
水道管の破壊はマジやめて欲しいよ、吹き出した水で二次被害出てるし。虎杖なにやってんねん。
書類の量に時折手を止めたり、心折れそうになったり、童謡の白ヤギ郵便の如く黒ヤギさんのように読まずに食べたを実践したらどうかな…?頭おかしいか、と時々自我を喪失しそうになりながらも順調に進んでいた方だったけれど、私はどうしてもとある報告書で手を止めずには居られない事態になる。
──次に手に取ったのは五条悟というよく聞く名前のとある男の報告書。
ぶっちゃけ今まで何学んできたんだ?という報告書なんですけど。マジでなってない。何?この、"呪術でひねってパァン!&END"って。一軒家の塀を穴あけちゃった☆って。舐めてんのか?国語の作文の授業からやり直せってんだ。
『………チッ、』
がたんっ、という音。
それは椅子の音だった。私から少し離れたガタつく音に視線を向けたら伊地知がビビって背筋をのばしていた。すいません、と小さく頭を下げてよくわからない夏休みの小学生の日記みたいな報告書を書いた人物に携帯ですぐに電話を掛ける。
ワンコール、ツーコール……と続いたコール音が急に途切れ、次に聞こえてくるのは明らかに機嫌の良い男の声。
"なーあーにー?"
『あ゙?さーつきちゃーん!……とか私、呼んでねえんだけど?』
何ひと台詞分飛んでんねん。桜でんぶをご飯に掛けんぞ?ピンク色のあまーいご飯にすんぞ?
まあ…それはそれで喜びそうな甘党の男なんだけど。