第33章 これは終わりではなく始まりの刻
「ちゃんと指導を体に教え込まないとね~?……ねえ、ハルカちゃん?」
……この状況を全力で楽しんでいるな?
いつも暴走する彼のこの今回のノリに私が着いていけるのか分からない、けれど。
そのゆっくりと揉みしだく手に重ねた手。彼の手は先程同じ温度の湯に一緒に浸かったというのに私よりも暖かかった。
じっと斜め前の顔を見上げて、目は変わらず見えないけれどこっちを見つめ返してるだろう、アイマスクの窪んだ箇所、目元を見て。
『痛いのは嫌なんで、優しく教えて下さると嬉しいんですけど…』
「ふふっ…お安い御用さ?」
笑窪を作って笑う、すぐ隣の悟。私は顔から視線を下げ、彼にぶつからない手で彼の体の中で現在、一番鋭利であろう箇所に布越しに手で覆う。熱くて、硬くて……太いモノ。そこを手のひらでぐにぐにと撫でながらもう一度彼を見上げた。
『それで、どういう風に私に指導をするんです?先生?』
撫で回すそこみたいに、彼の表情も次第に堅くなり時が止まったような沈黙。ごくり、と生唾を飲む音、喉仏が上下したのを見た。
「………。
もぉ~!痛くしないつもりだけど優しくできなくなっちゃうでしょっ!五条の悟クンがせっかちになっちゃう!ゴム取ってゴムぅ!早くっ!先走ったもの今、確実に出てるから!パンツから我慢汁染み出ちゃう!」
『ほら先生、早速キャラ忘れてんぞ~?』
胸を鷲掴みしてた手で指差すゴムの場所と、彼に開放された私の背。仕方ねえな……、と手を伸ばして掴んだいくつかのパッケージ。『ん、』と差し出された悟の手の上に置くと受け取った彼はその全てを片手に納めてる……悟の手、ほんと大きいねえ。
「巻きでいこう巻きで。ベッドに乗って、ああ脱がず寝ないで座ってて!あぐらじゃなくてお嬢様座りでよろ!雰囲気重視よ、ムード!いいね?」
片手、二本指をぐるぐると空をかき混ぜるように振りながら指示をする悟。現場監督かなんか?えっ、なんかの撮影じゃないよね、これ……。
ベッドに腰掛けた体、腰を上げベッドに向かう。ギシ、とベッドの上に膝立ちで数歩進んで座り込んで。私の側に急いで片膝を着いた悟がしゃがむ。
『変なビデオ撮るってワケじゃないですよね~、先生?』
「………なに?ハメ撮りされたいの?(ニヤァ…)」
『やだ。絶対に撮らせないから』