第33章 これは終わりではなく始まりの刻
『で。ここに私を座らせたのはいいけど、どうするつもりなのかな、先生?』
突然の真顔とゆっくりと前傾姿勢になりながら前の方を抑えてる悟。
やや怯えるチワワのように震えて私を見上げた。
「……やだあ…僕、今までこんな破壊力グンバツな子、生徒としてフツーに接してたワケェ?信じられない……、エピソード1のストーリーモードの前に既にちんこが痛いんだけど……?」
『ンな事私に言われても……勝手に興奮してんのはさとっ……る、先生なんだし…』
名前を言いかけて、無理やり修正したのが名前を呼ばれたと思ったのか。
部屋の中を自由に駆け回るサトールがふたり並んで腰掛けるベッドの前、私達の前までカサカサとやってきて止まった。
ぐにぃ…と綿を多く詰め込まれた頭部を上げ顔をこちらに見せ、小さく「ゴジョジョ…」と囁いてる。まるで呼んだか?と言いたげな顔をされてしまった。申し訳ない…私も悟も呼んでないのよ。だからといってなんでもないです、なんて言えばいくら小さな呪骸の彼だって機嫌を損ねる。
モデルとなった人みたいにさ、子供みたいに悪戯を始めるっていうか。
具体的に言えば悟が隠してたものを出されたように、見える所に出すとか。別に隠すものは無いけれど、散らかされたら困るのは変わらない。だって片付けるのは私や悟なんだし。
『えーっと、今日は一緒に寝れないから、サトールは今晩クッションの上とかで寝ててね?』
囁くような「ヌイッ」という言葉、多分だけど分かったとかそういう意味を含めてんだと思う。
これから起きる事を興味を持って見ていかないのは食事の時に眺めてるような、人間ってこういう事すんの?っていう呪骸なりの引くような感情みたいなのが沸いているのかもしれない。
「呪骸のサトールは録画機能とか付いてないのかな?」