第33章 これは終わりではなく始まりの刻
別に彼は悪いことはしてないんだけどね。
男性あるあるとかかも、兄貴だって周囲の視線を気にしてこそこそしてたし、昔部屋をノックせずに入っちゃった時慌てて本を閉じてたし。
悟が浮気をしてるわけじゃないんだから、問い詰める事はしなくて良いんだけれど、荷造りを任された身としてこの本を勝手にどうこう出来ないのは確か。捨てる事も、勝手にマンションに持ってく為にダンボールに忍ばせるのも出来ない。
荷解きの際に「なんでこれ入ってんの?オマエ、入れた?」……なーんて、いくら能天気な悟も真顔になるかもだ。
『……あー、もしかしてサトールったら、見える所にでも置いとけ的な行動だったのかなー…』
言えないならば、自分で行動させろ、とかそう言いたかったのかな?もしもそこまで考えているというのなら小さな体の割に先の事を考えているという事。凄いよ!
小さな呪骸の彼はアップデート次第では戦闘力マシマシにもなるけれど(現在だと収納されたナイフを出したり、通報したりする程度)知能のアップデートは最初のまんまのハズ。
先を考えていない場合、ただ単に悟への嫌がらせってのもあるかもしれないけど。
『……さて、このえっちな本をどうしようか…?』
三冊のエロ本を見る。
内容の激しい本達。私には刺激が少々強かったかなあ…。見る前は引いていた私だけれど、見てしまった後じゃあ少しどきどきとして、あんな風にとは言わずとも悟とそういうイチャイチャしたえっちをしたいかも?なんて思ってる。
なんだかむずむずするような、待ち遠しくざわついた下半身の反応。かつては男性というものを知らなかった私。彼によってしっかりと男性というものを身体で理解させられ、男女が交わる際に女性としての反応が出来るようにされてしまった……と思い知らされる。