第33章 これは終わりではなく始まりの刻
私が覗き込んだ時点でベッド下にサトールは居なくて、今はどこにいるのかな?と体を起こして悟の部屋を見渡した。半開きのクローゼットの中から「ゴジョ」という囁く声が聴こえたからまたなんか探索してるみたい。呪骸でも冒険が好きなんだねえ、サトール……。
キミのお宝探し、ある意味本体である悟の恥ずかしいものを発掘してるんですが。
……。
固唾を呑んで時間を確認。悟がまだ帰って来ないのを察して。ベッドに顔を向ける。やっぱ、気になるよね…えっちな本。
一度戻したベッド下をもう一度覗き込み、重ねた一冊を横にずらして二番目の本を手に取った。
来ないうちに見ちゃおう!なんて、少し悪い事してるよね、でも一冊目で凄く刺激的だった。一人遊びをする訳じゃないけれど、彼の帰りをまだかまだかと待ち遠しくなるような。
『……ちょっと見ようかな~…なんて』
JKモノとか教師が読んでどうすんねん。そういう目で生徒の事見てんの?と脳裏の彼を危険視しつつ表紙を捲り、その女性たちは現役女子高生では無いだろう、あまりにも色香の強すぎる姿を見て、多分そういうシチュだよね…、と自身を納得させて…。
際どいアイドル達の写真や、特集でいわゆるハメ撮りが多数載ってる。接合部分はモザイクで隠してるけれどさあ……。
ごくり、とその紙面に印刷された快楽の世界に視線を移していく。背後からとか、見せつけるように、とか。口で奉仕してたり、下着をずらしてたり……胸で挟んでしてたり。
漫画では結構激しめな、生徒と教師の危ないラブストーリーが載せられているし。
うっわ、広告の通販ページは玩具だとかバイアグラだとか、精力剤だとか載ってるし!
………え?今のサイズに納得のいかない貴方へ?うちの旦那は充分なサイズですからこのような広告は要りません!おやめ下さい!
なんて、一度見始めたら夢中になって読んでしまってて気が付けば二冊目も最後までページを進めていた。こっちの本はどうなんだろ?と興味を持ってまた違うものを引っ張り出した。
……年下彼女ぉ?
……。
……──
……最後の広告の載ったページを捲り裏表紙に到達する。結局、全体的に軽く目を通したとはいえ彼のお宝のえっちな本、三冊とも全て見ちゃった……。