第33章 これは終わりではなく始まりの刻
「春日家の系統から見て、ただ普通にしてるだけで呪いを勝手に呼び込んでしまうからいつだって危険と隣合わせ。それは死にやすく、もし女の子ひとりだけしか作らなかったらそれ以上、血が繋がれていく事はない。
たとえ男が生まれたとしてもその術式は受け継がれずそこで止まっちゃうみたいなんだ。難儀だよねえ…」
「……男か女か、まだ分かんねえのか?」
目の前の真希が頬杖をつきながら、焦げて食べられなくなった玉ねぎを箸でつついてる。時間いっぱい食べる勢は残りひとり、虎杖だけとなってるようで他の人達もデザートを頼んだのか、私達のゼリー以外にもクレープだとかアイスだとかスタッフが運んできて、手を上げた人の元へと届けてる。
『まだ分かんないんですよね~…』
「うんうん、そうそう。性別とかってもうちょっと先に分かるらしいよー、どっちであれ、五条家も春日家も系統が違うから……ウン…」
レッドカードという、この場から帰らされる事が目の前なので悟は何か言葉を探してる。
ひとつ頷いて自身満々の表情。これだ!という言葉を探しだしたみたい。どら、言ってみろー?
「マトリョーシカのギネスばりに増やさないとってね!」
『……一足先に退場の時間がやってきたみたいですね~?よーし、強制退場してもらお!』
マトリョーシカそのものが数が多いって思ってたけれど。
連絡を入れた傑により悟が連行(皆の食事代を置いていって帰った)されて、バイキングが終わる時間までのんびりしていた私達。
そっと携帯で調べたところ冗談にしては多すぎるマトリョーシカのギネスを見て、サッカーチームの方がまだマシだろ……と、きっと傑とどこかのお店に仕切り直しとして入店してるだろう彼を思いながら、アフターとしてカラオケなどを楽しみ、皆と共に寮へと私達は帰った。