第32章 御三家
「食べざかりが!私はオマエらのママじゃねえんだ自分で注文しろっ!自分で!」
「まっ、言えてるよなあ。憂太も遠慮せずにちゃんと主張しないとこいつらに全部かっさらわれるぞ?」
「う、うん…心配ありがとう、パンダ君。大丈夫だよ」
パンダの言う通り、主張があまり無いままに腹を減らした周囲に圧倒されている乙骨。伏黒も大人しい方だけれど今の伏黒は注文出来るパネルを持ってるから入力出来るとして。
実際、食べ放題だから取られた!なんて事はないのだけれど、自分の好みであるかは別。
ほぼ乙骨の正面の伏黒は真希から渡された端末を自身や虎杖のリクエストを入れ、送信後に渡してる。
そんなタイミングを眺めていたら私の正面の真希が私の名前を呼んだ。何気なく真希を向くと頬杖をついてこっちを見てる彼女。
「──で、春日のお前が禪院家行ってみてどうだったんだ?あいつら、あたふたしてたか?」
ニヤニヤしながら多分禪院家での御三家会議に混乱を招いたんだろうってのは分かってる真希。話しぶりからしてあの場に居た伏黒から、または悟から齧り聞きしたらしく、詳しい説明は入っていないようで。きっとこういう機会に直接聞きたかったんでしょ。
私に真希が聞いたのを聞いて、伏黒が言葉に詰まったように、「あー…」と言ってる。伏黒は現場に居たからどれだけ酷い事になっていたかを彼は知ってる。
この場で言うのはすごーく言い辛いんですけれど。いいのかなあ……。
躊躇いながらも確認するために真希に恐る恐る伺う。
『……食事時ですけど、良いんですかね?ちょっーっと汚い話なんですけど……』
「かまわん、言ってみろ」
「あの、真希さん私達居るんですけど~……」
「呪術師たるものそれくらい慣れろ、野薔薇」
ピシャ、と言い切る真希に少々項垂れる野薔薇が小さく「ハイッス…」と返事をした。
あれ、これって強制っすか?この空腹時に?
注文してる最中であろう乙骨が端末から視線を上げてる。視線が合った瞬間にへら…と申し訳無さそうな笑みを浮かべて端末をパンダや悟が居る奥の方に戻してた。
それを見送り真希を向いて。