第32章 御三家
これは埒が明かないや。
コアラ状態の悟から伏黒を見上げれば、タイミングよくため息を吐いて。
「……めんどく……いや、どうにも出来なさそうだから皆、五条先生も参加でいいか?」
「やった…!」
今、伏黒面倒くさいって言いかけたな。
そんな伏黒の妥協を気が付かないのか、悟は喜び、伏黒から離れて表情が花咲くようにぱああっ…!と明るくなっていく。嬉しそうなのは良いけれどそれに比例するように虎杖以外の皆さんの表情が曇っていく。
虎杖はともかく野薔薇は面倒くさそうな顔で視線を悟から離した。
「へーい…我慢するわ」
「我慢ってなに!?なんでそんな残念そうにすんのっ!泣くぞ?いいの?大のオトナが地べたに這いつくばって、大地をドラミングビートして声高らかに産声の如く泣きわめくよ?ん?キミらの今日までの担任がオギャってんの、見たいワケ?」
『そういう所だぞ?ハブの原因はよォー…』
悟が離れた事で重荷が無くなり自由となった伏黒。おそらくは人数追加の連絡をしてるのか、携帯を耳に当てて「予約をした伏黒ですが…、」とこちらに背を向け、教室内の窓に向いて電話をしてる。
虎杖に悟は「行くなら早くしようぜ、先生といると遅刻しそうなんだけど」という一言で地味にショックを受けた悟はしょんぼりとしながら、伏黒の通話が終わるのを待ち、皆でぞろぞろと一緒に荷物を置きに寮へと戻った。