第32章 御三家
年末年始ほどの忙しさは減ったけれどのんびり出来る日なんて少なくて多忙には違いない。そんな中で定期的に産婦人科医院に通い、また悟が任務後にその式場との話し合いなどで休みなどあまりない状態。
直毘人と今後の予定を話しながらの悟。その横顔をだいぶ疲れてるな…、と見ている時に「ハルカちゃん」と呼ぶ声は、お色直し前に二度服を私によって汚された彼。
「なあなあ、ハルカちゃん、ハルカちゃんって!」
何度も呼ぶものだから隣のセコムが私の代わりに反応してる。
「ハルカ、お尻を触った手をもぎってからなら話しても良いし、反応せずに無視したって良いんだからね?」
「そんな事言わんでも良いやろー?見ての通り俺とキミにはこんなに距離もあるし、お互い安心やろ?だからこう、お話くらい……ね?ね?」
両手を合わせ、悟にぺこぺこしてる直哉。悟は不服そうな表情してる。
なんの話したいんだか、と視線が合っただけで直哉は合わせた手を降ろし、にた…、と笑みを浮かべた。
「で、春日が禪院への復讐方法て~……実際なんなん?気になって夜しか寝れんわァ、この際だからこの場で聞いときたいな?」
「ハルカ、」
悟からの言うなよ?という視線。もしくは、下手なことをするなって意味も含まれてるような。
うん、と頷いて馬鹿にされず、また術式の公開もしない程度の言葉を頭の中で探して。
『……それをされたら一族として生きていけない、的なのじゃないですかね?』
男尊女卑の一族ならば一族内で生きていけないでしょ。脳内から女として変わっていくのなら。
詳細は省いた"一族として生きていけない"というだけの言葉に直哉はなんだろうと深く考えていた。考えてもそれ以上のヒントはなく、再び笑みを浮かべて前のめりになってる。
「だいぶ曖昧すぎん?なんか、こう……ヒントとか無いワケ?」
『ないです』
これ以上ヒントなんて出せないもんね、不利になるしきっとその程度と言われかねないし。伏黒は知ってる。他、この場に居る悟や加茂は知らないけれど髪や血液を元にした呪術の多い春日家の呪術。そうは答えに辿り着けないとは思う。
本題も終わっての再びの雑談。手をパンパン、と叩く悟に「そろそろ解散しよっか!」の一言で長く感じた御三家会議は終了という事となった。