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【呪術廻戦】白銀の鎹【五条悟】

第32章 御三家


308.

御三家会議から数日が経過した。そしてついにやってきた、三月のとある日の朝。
私は今日をもって、自主退学という事となる。この日の放課後までを過ごす事で一年生を終わらせる事は出来るのだけど、皆と最後までは走り抜けなかった。

一年ってあっという間だったなあー……学生になったのも急だし、辞める時も割と早め。
どちらも急かしたのは悟。始めこそ、社会人が制服に袖を通すなんて……と、成人が学生服を着るという恥じらいもあったけれど知らない分野に踏み込むというのはとても新鮮で、あまり勉強が好きではなかった割に学ぶことを楽しめた気がする。
生きるために自分に生まれつき備わっていたモノを理解しようとしてたのもあるかもしれないけれど……。

これからの二年生から学ぶはずだった呪術についての知識は学校という学びの場ではなく、書物やプライベートの中で悟から足りない知識を個人的に教わっていく。
本来、御三家などはその家の中で呪術についてを学ぶらしく、別に高専に学びに来なくて良いらしいし。

じゃあ始めから学生しなくてよかったのでは?
学生を辞めた後の私の進路ってか仕事についてを話し合う中で悟に聞けば「でも、楽しかったでしょ?」……その彼の嬉しそうな表情での言葉に私は反論が出来やしなかった。確かにね、学生生活はすっごく楽しかったというのは否定できなかったから。だから返事として悟に笑って、一つ頷くだけ。
基礎体力、また体術や訓練、実戦……そういうのもあったし、とても良い一年であったと思う。ぶっ倒れたり死んだりしたけどねっ!

──そして今日を以って、学生でなくなりこれからの私は主に非戦闘員として。時々戦闘員として。呪詛師でも捕まえたなら尋問をしていく。
生き方のすべてを私の意志で決められる事じゃないけれど……尋問もあまり乗り気じゃないけど。そういう誰かを支えられる存在になるのなら、と春日家から受け継がれた力と運命を私は受け入れている。

朝、高専内の寮の私の部屋にて。
これが最後に着る制服かあ……と、ゆっくりと着替えていたら、いつもの全自動鼓膜を勝手に震わせる人物がやけに静かだと気付いて、上着のボタンを留めながら部屋を見渡した。
そしたら壁に寄り掛かりながらすぐに出勤出来る姿の彼が背後でじっと見ていた。
こっわ、なんで今日は静かにしてんの??
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