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【呪術廻戦】白銀の鎹【五条悟】

第32章 御三家


307.

……さて。直哉のお色直しが終わり、空いた座布団に彼が座った事で空席も埋まってようやく遅れた御三家会議が始まろうとしてる。
ビクビクとした視線が私へと弱々しくも刺さる。ちら、と見ればその視線の主は直哉。そんな警戒しなくてもさあ……。
いや、警戒度マシマシは良い事だけどってさっき聞いたしさ?

「な、なんや?何見てん……?便所行くならとっとと行きゃええやろっ」
『何も言ってませんけど』

……着替えだけ済ませたんだろうなあ。
恐る恐る自身の腕(素肌)をすんすん嗅いでスペースキャットしてる直哉。胸下辺りを目掛けて噴射してたけどもしかして二回目のが掛かったのかな。下唇の下に皺を寄せてる。涙は浮かべずとも泣きそうな顔にも見えるってか……。

「色々あってようやく話を始められるんだが……」

あぐらをかき、ぼりぼりと腰を掻いてる直毘人。
身内とはいえ、今回の騒ぎの原因である私と直哉を見比べ。最後に私をじっと見ながらに肩を落とす。

「そんなに体調悪い状態で会議に来て良かったんかねえ……確かに当主や次期当主、他伴侶も参加して良いとはあるが…」

直毘人が呆れたというか、でも僅かに心配そうにしてる。
悟が私の背にぽん、と手を当て優しく撫でる。奇跡的に私が着てる着物はほとんど無傷、被弾はしてない……にカウント出来ると思う。足袋は直哉の服から零れ落ち跳ね返ってしまって汚れたから脱いでるけど。
悟がぐい、と私の肩を引き寄せた。

「しょうがないでしょ。体調悪いってか、今が一番つわりが酷いんだよねえ~……」

ざわ、と室内が沸いた。直毘人が目を瞬かせて前のめりになってる。悟の言葉に食いついた、と言うか。

「……はあ?つわりぃ?なんだ、悟、もう跡取りが出来たのか!そいつはめでたい!ガキをとっくに拵えてちゃあ今更反対しても意味が無いなあ……、なあ、直哉?」

納得した表情で上機嫌に笑う直毘人は直哉を見る。この室内で一番驚いてたのは直哉、彼だったと思う。伏黒や加茂はとっくに知ってるだろうから驚いてもいないし、ヒサカイのような情報を売る人が居ないおかげか、話が広まってないらしく。

口をパクパクさせて何か言おうとしてたので、今度はこっちが勝ち誇った顔しとくわ。へへん!
というワケで私は悟と別れないぞ!
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