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【呪術廻戦】白銀の鎹【五条悟】

第32章 御三家


柔道の如く、目の前の直哉の胸元を両手でがっしりと生地を掴んだ。
さようなら、栄養よ。二時間ほど私の体と共にいた事は忘れない。本当なら消化したかったんだけどそれは無理みたいです。
キラキラともしない、濁流が密室内に溢れていく…いや、眼前のとある場所にまんべんなく掛けられていく……。

──うん…要するにだ。
マーライオンスタイルで直哉の胸の位置から大量の朝食だったモノをドチャ、と吐いてしまったってわけです。

始めは多分、悔しいんだろ?と言いたげに言い逃げして勝ち誇り、にやにやしてた直哉。
吐きながら隙を見て見上げれば笑顔がゆっくりと真顔になって状況を理解したらしい。

「ぎゃああああ!」

そりゃあ騒ぐよなあ、私だって電車内で酔って吐いてるおっさんから靴をキュッキュッ鳴らしてバックステップで逃げるわ。
勝ち誇ってた表情は一変して、絶望の表情に。叫んだのが会場付近というわけでこの部屋に向かってドタドタと足音が複数向かってきてる。

「なっ…な、何してくれんねんボケナスがァ!」

慌てた表情で直哉に肩を捕まれ背後に飛ばされた私の体。ガタ、という勢いで薄暗い部屋に一気に陽の光が差し込む。
障子に、というか縁側へと尻もちをつく前に両肩を大きな手で支え、私の背中に掛けられたのは、よく聞いた声。

「ハルカ、大丈夫!?なんかされた!?
……って、なにこれ…」

第二陣の気配が込み上げそうでパン!と音を立てて片手で口元を抑えつつ、支えられながらに振り返ると目の前には悟。直毘人や他の人も…伏黒とかもその人の隙間から覗いてた。
現場としては困惑したと思う。なにせ叫んだのは直哉、悟には私の呪力が判別出来るだろうから何故直哉と私が居るんだ?と思ったに違いないだろうけれど、密室の現場には吐瀉物を掛けられて騒ぐ男。初見じゃコレは困惑するわ。
直毘人は顎をボリボリと掻いてる。もちろん困惑した顔で。

「……何があった?というか直哉、オマエがハルカをここに連れ込んだのか?」

口を抑えながら私はコクコクと頷く。ヤバイ、第二波来るわ。衝撃に備えられない、使徒、襲来。
直哉は私を何度も遠くから指差す。片手は素肌に服が張り付かないようにしながら。

「この女、突然吐きやがったん!やっぱ春日はカスじゃ!カスカスの春日じゃー!」
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