第32章 御三家
ぺこ、と一度頭を下げといて。そんな顔で言われちゃテンションが下がります、気持ち的に一回り縮こまった気分~……。ダメージ食らったマリオ的なさあ~…ティウンティウン…。
何か言いたそうな雰囲気の伏黒。それで何を言いたいの?とこちらから聞かずともいつも通りの表情に戻った彼自身から口を開く。
「もうすぐ御三家会議だろ?」
『……なんですか、それ?』
もうすぐ?いつの話だろ?初めて耳にした御三家会議という言葉に首を傾げると伏黒は苛立つような表情で斜め下を睨みつけ、ガシガシと乱暴に頭を掻いてる。見つめる先は揺れるウニヘアー。
「あの人、大事なことをハルカに伝えてないのかよ……」
あの人、となると頭に浮かぶはただ一人。
ぽん、と浮かんできた、ウインクをしながらダブルピースする悟を頭上に思い浮かべた。ついでに「メンゴー!言い忘れちゃった、テヘ☆」という、そういう所ー!っていう彼。
……不意打ちで後ろから、首から腰にかけてツツー…っと背骨沿いにくすぐっとこ。
『チッ、ンのやろ……あー…うん、そういう事聞いてないなあー…。きっといつものクセだねー、後で悟をシバいとくわっ!
で、その御三家会議?がどうしたのさ?』
なんともまた言いにくい表情で両手を自身の膝に乗せる伏黒。
あー…、と躊躇いながらも彼は言う。
「禪院を敵として見てる春日の出身だから、その敵が今回の会議場である禪院の敷居を跨ぐんだ。あんたは今度の御三家会議に来ないほうが良いかもしれない」
真っ直ぐな目で行くな、と強制する言葉じゃないけれど、伏黒が心配をしてくれてるのは知ってる。
例え今回、その会議に私が行かなかったとしてもいつかは行くでしょう。それに私が行かないというのは悟との結婚に反対する人に、より認められなくなってしまう。悟にもそういう女を嫁にしたって他の御三家に馬鹿にされたくないしね…。
ぎゅっとバインダーを抱えながらに伏黒の目を見つめた。
『あー…。でもさ?今回、禪院の敷地だから行かない選択をしたとして。悟の妻的ポジションとしてはどうなのかなあ、行かない事で更に反感買いそうだけど…』
「……話の分かるやつは一部居る、けどほとんどがハルカを良くないと思ってる。腹に居る子供については伝わってるか知らない、でも知られたら危害を与えようとする奴も居るかもしれない」