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【呪術廻戦】白銀の鎹【五条悟】

第32章 御三家


303.

三月も半ばに入ってくれば避けることが出来ない出会い、そして別れのシーズンの四月が迫ってくる。
……って言っても私は今年の高専卒業生に当たる人物に遭遇してないから卒業生を知らない。
ただクラスメイトが四月にはひとつ学年に上がる事と二年の先輩達も学年が上がり三年生になる進級は見届ける事となる。
別れる、というのは身近な人達ではなく私だけ。学生を辞めて四月からは立場上は治療担当の硝子と補助監督生の伊地知の間くらいの曖昧な立場。
それも現在の私の都合上、夏頃からは休みが多めにはなるだろうって聞いた。お腹の子が生まれる予定が秋頃だしね。

……慌ただしいなあ。
厚手のコートもマフラーも使用頻度が落ち、雪も気が付けば降ることもなくなって、どこにもなくて少し温かくなってきた季節、春。あと何度私はこの制服を着るんだろうな…と医務室でボードの上の書類に伏黒が記入を済ませている間、私はデスク前の椅子に座りながら自身の袖に着いた黄色っぽい繊維のクズを爪先で取り除く。

「……終わった」

顔を上げ制服の袖から椅子に座った伏黒に視線を向ければ、こちらに記入済みの紙が挟まったボードが向けられてる。
ゆっくりとした動きでそれを受け取り視線で彼が記入した場所を確認する。書いて貰う所…記入漏れは無いね、よし。

『ん、じゃあ伏黒はもう教室に戻って良いよー』

治療も済ませたし、後はこっちで記入するとこにちゃちゃっと書いて終わり。
そして私はこの後、教室に行く事はなく医務室から事務所に立ち寄って雑務を一時間ほどするんだってサ!
一年の教室では一般教養、数学の授業が行われてる。呪術関連以外はほとんどがこんな感じで既に四月からの体制に近いとは思うんだけど。
……私の服、スーツになるのかな?

伏黒から返されたその紙面にペンを走らせてる中で目の前の椅子からいつまでも腰を上げない伏黒。なんだろ、怪我は治っても心のケアは治ってないとかではあるまいし……と目の前の仕事から彼の方を向いた。
なんとも言いづらそうな表情で眉間にシワを寄せてる伏黒。どないしたん…?

『あ、まさか伏黒も同じく数学を受けたくない感じ?わっかるー、医務室居るとサボれるよねっ?』

ナカーマ!とウインクとかしちゃったりしてね!
目の前の伏黒は同意する事はなくちょっと顔をしかめてる。

「俺はあんたとは違う」
『アッサーセン……』
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