第31章 灰色の日々
「イッポウ24個、ニホウ20個、サンポウ16個にシホウ5個、ゴホウ17個…ロッポウ4個チッポウ8個。そして特級呪物のハッカイがひとつ。
その報告と自供した合致分の計95個の呪物をこの三週間、僕は探し出しては壊してた。だって女性にも子供にも害を成す呪物だ。それは大切なハルカに影響をもたらすかもしれない呪物。世の中からこういう危険なものは排除してよりハルカには安全で過ごして貰いたいんだ」
確かにコトリバコは危険だよ?テキストの呪物一覧表で割と代表格として掲載されていたほどに一族を呪い殺す呪物、呪殺の箱。私は実際に見た事はないけれど本物は近くに寄るだけでも危害を与えるって聞く。より興味をそそられるように、子供の気を引くための構造上、一定範囲に呪いを振りまく呪物だ。それを悟はこの空白の間に壊してまわったっていうの…?
……暗記してたってわけじゃないから今、彼が言った全ての数が合ってるなんて分からない。それを悟はすらすらと言葉に出す。
ひとつ見つけ出すのにも時間が掛かるだろうに、90以上の個数をひとりで三週間程で壊して回るだなんて出来るものなんだろうか…?いくらなんでも特級呪術師だからって、そんな事出来ないでしょ……。
耳を彼に差し出したままに悟の言葉を聞き続けた。少しだけ、いつもよりも反省したように聴こえる声。
「ただ着の身着のまま、そうだ呪物破壊しよう!って出掛けたからさ。尋問し終えて独房から出た後に気が付けばスマホは置いてきたまま。連絡しようにも出来ないしすぐじゃなくても後で連絡すればって思っててね……」
『……うん』
そこで反省しきらないのが五条悟って男なのは知ってる。
元気な声での耳打ちが僅かに苛立たせた。
「結局全部破壊するまで帰れまテン!をひとりでやってたらこうなってたんだよねー!」
『はあ??』
舌を口の端から出してウインクなんてしちゃって。テヘペロをしてんじゃないよ、反省してないでしょ!全然!
耳打ちしてもらう体勢をやめ、目の前でイエイイエイ!とダブルピースをする彼を見て小さく舌打ち、はあー…とため息を吐く。
ドリフじゃないけど、だめだこりゃ。