第31章 灰色の日々
『えっ違いますって!別の人と来た時に食べようなどとそんな事は決して…、』
「あー!そんな事考えてたんですか!?それも駄目ですからねー!」
『アッ墓穴掘った!』
即座に頭を抱えりゃ、頬を膨らませた三輪に「駄目です!」と二度目のダメ押しをされて。
京都での滞在、残り少ない日々。前は毎日とは言わずとも頻繁に悟が京都に来てくれていたというのに。今は寮の部屋が静かすぎて、毎日になにかスパイスが足りなくて、退屈を感じて。
こんなにも私自身が彼に依存していたなんて思ってもいなかった。好きなのは好きだけど、重症なくらいに悟が好きだったなんて。
食べたいものが食べられず(ああ…シロノワール……)ぼんやりと温かいコーヒーを飲みつつ、チキンをフォークで刺し口に運ぶを繰り返しながら薄暗い外を見ていた。
わあ…空から大きめの雪が降ってきてる。寒そう、外出たくない。買い物来たのにコメダだけで済ませたいや。そしたら最終日食べるものパスタにドレッシングかホットケーキくらいだな!……それは嫌!やっぱ買い物してこ。
慌ただしそうな人の行き交う外を三輪越しにぼーっと眺めていたら、私達の席、窓際に立ち止まるひとりの人間。
その人の姿を見て、今私が求める人物を重ねた。見間違う事はない。目立つその白銀の髪、長身の男。ああ…間違いなく、彼だ……!
『あっ…』
思わず手に持つフォークが滑り落ちる。かたん、とバスケットに当たり、机の上に倒れる食べかけのチキンを刺したままのフォーク。
拾い上げてるどころじゃない。おやつを続行してる場合でもない。財布から少し多めの金額を机に急いで出し、席を立ち上がる。
メカ丸や三輪達も気が付いたのか二人の視線は窓の外、久しぶりでも変わらない、アイマスクの男が手を降ってる歩道に向けられていた。