第5章 "好き"が止まらない!
32.
「まずはおめでとう、ハルカ。また一年生が出来るね!諸々説明や渡すものあるから僕に着いてきてねー、教室も案内しとく?多分悠仁達今授業してると思うけれど授業参観しちゃう?へい、へい!」
閉まってたドアを開けテンションを上げながら急かす悟。
学長にこっそりと"あんなでも教師なんですよね?"と聞くと、"そのハズなんだが…"と返してくれた。落ち着きがない悟にこの先若干不安にもなる。むしろ学生の精神というか。
『では、失礼します、』
「ハリアップ!キミ遅いよ!?」
『人の事4分も面談に遅刻させた人に急かされる筋合い無いんですけれどー』
私は学長と別れ悟の後に着いていった。
セキュリティについてを説明されながら、向かう先は校舎へ。
急ぐと言っても私に合わせてくれているのが憎みきれない。
「呪術についての授業も勿論あるけれど、普通科目もあるからねー、キミ高校生だった頃の授業覚えてる?一般教養」
人の少ない、広い校舎の中を進んでいきながら悟は私を見た。
アイマスクの内側は開かれてるのか閉じているのか分からないけれど。私はその視線に合わせながら歩は進めていた。
『授業よりも友人と遊ぶ事に記憶領域全振りかなー』
「だよねー!青春、また楽しめちゃうねー!
……今度はちゃんと授業聞きなさいねっ」
『はいはい、どっかの誰かさんみたいに天才じゃなくて悪ぅござんした』
一年と書かれた教室、そのドアを悟はガララ、と豪快に開け放った。
スーツの男性教師がひとり、そして振り返る3人。
「授業中断してごめんねごめんね~!明日から編入するみたらいハルカちゃんです!」
『……授業中断せず明日、朝から来ればよかったのでは???』
釘崎が"そりゃそうだわな"と小さく呟く。
「……よし、教材と制服渡すからこのままハルカ着いてきてね、じゃあ諸君授業を続け給え!居眠りしちゃ駄目だよ!」
『ただ賑やかしに来ただけかよって引っ張らない!服伸びるてしょうがっ!』
ピシャリとドアを締めて、一年の教室にやって来た嵐は去る。