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【呪術廻戦】白銀の鎹【五条悟】

第5章 "好き"が止まらない!


タタタッ、と犬らしい四つん這いで駆け出すトミー。
しゅるっ、と音を出して私は突き出した右手の怒髪天を、悟にやったように蜘蛛の巣状へと形成してトミーを捕らえる。

「オォンッ、ウォンッ!」

ジタバタと暴れて、噛んで逃れようとするトミー。
左手からも、反転術式を出した。まだ出す回数も少なく、慣れていない為にしゅるしゅると遅い。たくさん練習するにはそれだけ使い分の呪力を溜めないと…誰かの痛みを吸収したりしないといけない。

ブチッ、ブチ、と怒髪天を噛んで飛び出たトミーは振りかぶって私の頬を殴る。
ドッ、とぬいぐるみとは思えない一発に体勢を崩しかけた。柔らかくなんてない。重い痛みがシュウ…、と消えていく。多分、私の頭髪の一本程度がダメージを吸収したのだと書物の1ページを思い出した。

じゃあ、お返しに。
左手からの怒髪天を、何本ものの枝分かれしたロープにした物をトミーにと突き刺した、私がやったというよりも、小型の蛇が獲物に食らいつくようにトミーに突き刺さりにいった、というか。

ぷらん、と力ないトミーを左手の怒髪天で持ち上げて学長の元に運ぶ。まだ突き刺さったまま。使わない右手の怒髪天は解除した。

『どう、ですか?』

「……お前はこの呪骸が呪霊だとして、これで良いと思うか?」

静かにそう言われて、突き刺したままの怒髪天を広げて胴も脚も、頭も全てを引きちぎる。呪霊であればとことん容赦なくやれ、ということなんだろうと理解して。中の真綿が床にぽとぽとと落ちて、埋め込まれたトミーの目がコンッ、と軽い音を立てて床でバウンドした。
ぬいぐるみはぬいぐるみだったものへとなり、その綿くずをゆっくりと拾い上げた学長。

「合格だ。滞在している君に改めて言おう。ようこそ呪術高専へ」
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