第31章 灰色の日々
悟と同じく何を考えてるのか分からない私の呪骸。話す言葉は単語は少なく、狗巻よりもその単語ひとつひとつに意味は無いし……それでもサトールにはメカ丸の気持ちが分かるのか。シンパシーを感じてるのか。私からぐるりと体の位置を後ろに変えて背後のメカ丸をうんうん小さく頷き絶賛観察中だ。
……なんか、気になるお友達が出来た、的な…?可愛いなあ…。
まあ、可愛い顔であろうともずっとガン見してるんだ。メカ丸も私のマフラーに絡まるサトールが気になったらしい。
「……オイ、オマエの呪骸がずっとこっちヲ見ているンダガ?」
『ええ、はい……サトールがずーっとメカ丸さんの事が気になってるみたいですねえ…』
メカ丸に表情筋がないから困ってるのかすら分からないけれど。無言のメカ丸に熱視線を送り続けてるサトール。見るだけにしなよ、決して本体(デザイン元)みたいに失礼な事はするんじゃないよ?
今の所失礼な事をした…、といったら傑に対して不審者だと悟に通知を出してたくらいで、他の方々に実害はないのだけれどさ。
買い物に行く前にカフェに行こう!という事で三人でカフェに入店する。カフェっていっても私達が目指していたのはコメダなんだけどねっ。
「いらっしゃいませ」とスタッフに案内され、窓辺の席へとやってきた。窓際に三輪、通路側に私。窓際の奥側にメカ丸といった席順でメニュー表を私と三輪で手に取る。メニューを見始めた時に首元でもぞ…とマフラーから這い出したサトールが、二足歩行でもたもたと覚束ない足取りでメカ丸の居る前、机の上まで進んでいくのが見えた。
自由だなあ、サトールのプロトタイプに良く似てさ!
「オマエ、なにヲ見ていル?」
「ゴ、ジョ…」
「……」
見つめ合うシュールな世界を私達女子組が見守り。「仲間意識出てるんですかね?」と三輪が言うので『多分…』と彼女に頷いた。
三輪がふわふわとした雰囲気の呪骸ワールドからメニューへと視線を落として少しばかり難しい顔をしてる。悩んでんのかな……?私は看板を見た瞬間にパブロフの犬が如くシロノワールが食べたい!ってなってんのよね。