第31章 灰色の日々
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京都滞在もあと二日まで迫った。三日後には荷物を纏めてまた東京に帰るんだけど……。
昨日のうちから東京に帰れるように荷物整理のついで冷蔵庫の確認をしていたら食料品がその帰る日まで保たない、と部屋で気付いてしまった。なので談話室で見かけたふたりに声を掛け、翌日特に任務がないというので、今日はその声をかけたふたり……三輪とメカ丸が私に付き添ってくれての買い物に出掛けている。
ただ買い物行くだけじゃね。買い物の前にちょっと食べたいな、とおやつタイムをするために向かっているのは喫茶店のチェーン店。
街を歩くに帽子やマフラーなどを身に纏えばメカ丸は暖かい時期と比べれば隠れる部分も多く、非術師にじろじろ見られる事も少ないけれどさ…。
背後から着いてきてるメカ丸をちら、と横目で見て、三輪の側に寄りこっそりと彼女に話しかけた。
『あの、三輪さん三輪さん。メカ丸パイセン、カフェとか大丈夫なんです?』
基本、私が食事をするのは新とか、部屋でひとりか。歌姫と食べに行くこと…あとは加茂と西宮と共に外食もしたけれど。メカ丸が居る状態での食事は今までで一度もない。
彼は一体なにを食べるのだろう?
東京では呪骸であるパンダは色々食べてた、彼は「笹?笹は好かん、俺は肉とか好きかなー…特にカルパスとか」って言ってた。逆に呪骸が食べるという生存本能の行為をするのが珍しい方だけれど。
メカ丸はその点どうなんだ?だってパンダと同じように学校で授業を受けてるし。と三輪に聞けば彼女はああそんな事か、とふふっ、と笑って得意げに話す。
「いや、メカ丸は基本食事要らないんです。呪骸ですので……」
『え、ええ……食べないんだ……こっち(東京)のパンダがもりもり食べるしてっきり食べて呪力変換かと…』
「いいですか?ここだけの話。以前プレゼントをした時に判明したんですが電池も要らないんですよ、メカ丸!」
『……何をあげとんねん…』
勿論本人の耳に聴こえないようにと声量を気にしつつ歩きながら耳打ちをし合って。
そこに混ざった気になってる、私の呪骸のサトールもマフラーに包まりながら「ヌヌイ、」と何やら頷いていた。