第30章 彼と共に彼を待つ
『予定通り二週間って言ったじゃん!一日分出直してこい!』
「僕が早く帰ってくる事で不都合な事でもあったのかな~?浮気?浮気してんの、ハルカ?」
『不都合な点はございませんわ!浮気もしてませんしー!?ほら、授業の邪魔、汝のあるべき所に帰れ、ゴジョーサトル!』
「クロウカードじゃなくって僕は苦労ガードだね~……ぐすん。
なんでそんな皆だけじゃなくて奥さんであるキミまでチュウを嫌がる猫みたいにこうして拒絶するのさ?
寂しくて寂しくて枕を濡らして今日までの十二日…アッ時間的には十三日、三食ご飯を喉に通し、夜とか昼間に仮眠しか取れない可哀想な僕を労ってくれるかと思ったのにィ~!」
『枕が湿ってる以外正常じゃねえか!おかえりと言いたい所だけれど繰り返しますね?
授業の邪魔になってますよー、五条先生!』
邪魔をすることに関して右にも左にも出るものは居ない、な悟。久しぶりの鼓膜へのストレスに安心感はあるけれどこのまま授業の邪魔をし続けるのは皆にも迷惑が掛かる。
キッ!と見上げたサングラスの奥の青い瞳。
『……いい加減にしろや、ロメロスペシャルすんぞ?』
「それ、やー!どうしてキミはすぐに暴力にいくのさっ!?もうっ!」
ぐっ、と指を絡めた手が不規則な動きで翻弄をする。このまま本体が近付けばキスエンドだ、公然でするのは今じゃないんだけどなっ!?せめて部屋に帰ってからにして欲しいんだけどっ!
悟は帰国後の高テンションが抜けないままに口を尖らせながらブーブーと文句を垂れ流してる。
「いや、さ?明日に帰ったら役場なり病院の手続きあんじゃん?今から早退のち行こうかなーって思ってねっ!サプライズで早めの帰国ですのよ、奥様?てなワケで早退するよー、硝子にも理由はそういうワケって事で立派な理由っしょ?医者に行くんだし。
ほら、ボサッとしてないで早退の用意したした!ボーっと生きてんじゃねーよって伊地知に怒られるよ?」
「こら、五条。本人の知らない所で伊地知を巻き込むな」
なんて横暴な。真剣に授業を聞いてたのにですよ?まあ、手続きする事も大事だけれどさっ。
悟が言うのだから仕方ない、私だって彼と手続きだとか病院に行くって約束もしていたのだし……と渋々帰る準備を進める。多分このまま病院だろうけど制服で行くのはちょっと…さ?部屋戻らないといけないな。