第30章 彼と共に彼を待つ
「要するにアレでしょー?棒があったら穴に突っ込めば良いワケ!すると神秘的な事に新しい生命がだね、誕生するんだよ。
棒が一本あったとさ♪さっとるかな?悟じゃないよ、ティー・エヌ・ケイ!」
「……おい、そういう保健体育じゃないんだけど?私が教えてんのは人体の急所についてだよ」
「あ、なーんだつまんねー」
しらー…と悟を見てる硝子。それもそのはず、人体については同じだけれど、悟の言うような繁殖面での事ではなく、外部からのダメージを与える時の急所について。呪術師たるもの、呪いだけが敵じゃない。最悪呪詛師を相手にした時、呪具や格闘術などで相手を攻める時に役立つ知識を教えてもらっていた所だったのに。
呪術で駄目なら筋肉やテクニックで沈めりゃ良いんだよ、信じられるのは最終的に筋肉さ!と皆真面目に聞いてたってのにさ!
しかしまあ、これ(悟)を放置したらヤバイわ。今はちんこをTNKで伏せてる(隠しきれてない)けれど、女性バージョンはどういった変化球ぶつけてくるかわからないし。冗談抜きでアウトだ、学長を召喚しないといけないレベルで。
両手…、片手の拳をコキ、と鳴らして絶賛余裕を吹かしてる悟に近付く。大丈夫、人体の急所はいくつか硝子により習ったばかりですし。
『帰国後早々で悪いんだけど先生のスケキヨ見てみたいなー』
「…っ!?バイオレンスの気配を察知!衝撃に備えて!諦めないで!」
「おい、エヴァかよ」
教壇にいる硝子を向いていたくせに急に凄い勢いで振り向いた悟。手を伸ばして来たから反射的にその手を食い止めようとして、私の両手の指を絡められてしまって、そのままこちらへと近付こうとする彼。
私はそんな悟のキスを迫ってるんだろう接近を、腕を伸ばして悟が来ないようにと仰け反って拒否してる。悟の術式でいうと、彼は蒼、私は赫ってか?来るんじゃねえぞ??周りにとばっちりがくるかんね?
逃げ回ってた私の両手の自由を奪ったものだから勝ち確定ってドヤ顔してる彼。
「つーかーまーえーたー」
手を繋ぐなら後ろからにして欲しいね!先生よぉ!そしたらロメロスペシャルをかましてやれたのに!
近付く悟の腹部に片膝を当て、これ以上来るな、となんとか阻止しながらに見上げる長身の顔だけいいと皆に言われる男。