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【呪術廻戦】白銀の鎹【五条悟】

第30章 彼と共に彼を待つ


まるで「なんだ?」とでも言いそうな顔して見上げるサトール。変わらないにこやかな表情で何を思っているのやら。そもそも感情があるんだろうか?嫌がらせはしてきたから、何かしらは思ってると私は感じてるけど。
指先でつん、と突くと頭がデカいサトールはころん!と後ろに転げ倒れる。「ヌッ、」と発して。

『サトールのモデルとなった悟が帰ってきたら、サトールと揉めそうだよね~』

無言でじたばたする姿が可愛い。けど、ぬいぐるみの見た目で学習能力もある呪骸の彼に悪戯ばかりしたら、後で仕返しを食らうかもしれない。ある程度の命令は利くけれど、空気を呼んで嫌がらせをする事を多分、趣味にしてるサトール。君の仕事はソレじゃないんだかんな?
片手で体を掴んでもう一度トン、と座らせるとじっと無言でこちらを見ているサトール。

『悟とも仲良くするんだよ?もっとも、サトールから仲良くしようとしてもあっちの悟は我儘でサトールと喧嘩するかも、だけど……』
「……ヌー…」

はーい、とか返事してんのかなあ。ぽんぽん、とさらっとした頭を撫でて。あー、ねっむ!体調はまだ良い方でも今日は体が熱っぽく、静かなこの室内と差し込む日差しが気持ちよくて。ふわぁ、とひとつあくびを噛み殺し、今日は自習どころではないか、と諦めがついた……うん、よし、寝よう。
突っ伏した体勢もあって私はそのままうたた寝をした。


────

──

──…さん、…ハルカ……、さん。

静かだった部屋で誰かに私の名前を呼ばれてる。それだけじゃなくゆさ、ゆさと揺すぶられてそこでようやく顔を持ち上げた。
ああ、そうだ私、眠すぎて寝てたんだったと揺すぶった人物、隣を視線で見上げた。

「こんな所で寝ていたら風邪を引きますよ」

『……七海さん、』

今何時だ?と携帯を取り出し急いで時間をチェックした。十五時を過ぎてて、差し込む日もやや橙を帯びた色に感じる。ぽかぽかしてた光はもうなく、なんだか少しだけ冷えてきたような。
見上げた七海は私の反対側に移動し、椅子をギギ、と引いて真ん前に座る。

『治療、です?あれ、でも硝子さんから通知が入ってるわけでもないですし……』
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