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【呪術廻戦】白銀の鎹【五条悟】

第30章 彼と共に彼を待つ


まっ、読書にしろ問題を解くにしろ残念ながら本日の集中力は寮に置いてけぼりでしてね?
とりあえず机の上に本を開いて、ぼーっとひなたぼっこをしながら椅子に座っていた。
お昼も済んだ事だし、今日の夕飯何にしよー……。ひとりっきりで部屋で食べる夕飯、それも呪骸であるサトールに貼り付けられた微笑の刺繍、雰囲気的にもうわっ、この人間有機物食ってる!みたいな言葉にならない言葉をその仕草から毎度受け取ってる。

『サトール~…あれ、サトール?』

机に置いてた彼が居ない。
本をちょこちょこ読んでた間にこの室内のどこかほっつき歩いてんな?と静かな室内で少しだけ声量を上げて彼の名前を呼べば、静かな空間の奥から「ゴジョ!」と元気そうな小さな鳴き声が聴こえた。
人のように靴を履いているわけじゃない、布で出来た体で(中に携帯が入ってるらしいけど)音もなく、まーた四つん這いでこっちをガン見しながらカサカサと走ってくる。初めこそ嫌悪感あったけど見た目は可愛いしなあ。顔はいいんだけどその動きは頂けない。足が三対の六本だったら多分慣れずに未だに悲鳴上げてた所だよ。

ギッ、と椅子を鳴らし、片手を机下で彼を拾い上げようと待っていると手にがしっ、とぬいぐるみの割にはしっかりと掴まっているサトール。持ち上げて机に乗せてじっと観察してみれば布で出来た呪骸の体……特に歩き回った手足には埃がくっついていた。
あー、これはもう、お部屋で綺麗にしないといけないじゃん!

『もー…勝手に動き回るから。あちこち埃まみれじゃん。夜、一緒に寝るんだからゴミ付けてちゃ駄目でしょ~…綺麗に出来ないなら一緒に寝ないからね?』
「ジョ…」

摘んでくっついた埃を取って、張り付いたものは指先でトントンと軽く叩いて落とす。最後にふー、ふー、と細かいゴミを落とし終えて綺麗にした後は他に汚れていないか持ち上げていろんな角度から確認して。
綺麗になったサトールを机に置くと彼は机に座った。それを見て私は机に突っ伏して顔だけ上げて近距離だと大きく見えるサトールをじっと見る。

『……ずっと悟が居ない間、サトールと寝てたけどさ……』
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