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【呪術廻戦】白銀の鎹【五条悟】

第30章 彼と共に彼を待つ


あまり乗り気じゃなかったのは本当だったとも。
このまま痛めつける事なく帰ってゆっくりとしたいのが本音だったけれど、明らかに経験もなくてぎこちない私の態度や威圧感がない事を軽くみてる。
ナメて馬鹿にしてるこの態度と口振りにイラッとしてしまい、尋問前の気分については掌くるーの掌ドリルよ。つまりは気分がノッてしまった、という事。
にっこり笑って、男の肩にたんっ!と、手を置いた。

『じゃあ、今からは尋問じゃなくて拷問になるわ!』

「……あ?」

訝しむ顔で見上げたヤタベ。その表情は次第に目が見開いていく。
静かな部屋でシールを剥がしたようなメリ…ッ、という音が聴こえた。手を肩に乗せた男の体が椅子に拘束されながらも左右にガタガタを可能な限り身を捩ってヤタベは悲痛な声で「があっ、あ!」と叫ぶ。
こ…、と小さなものが転げ落ちた音。
椅子の足元に血混じりの湾曲した、白っぽいプラスティックみたいな物が落ちてる。コツ、コツ、と背後に回ってしゃがみ、覗き込めば自由の利かない両手、その右手の親指からぽた、と緩い出血を発見した。

「な、んだこの女ァ……!なんの術式だ!?う、くゥ…、」
『……で?コトリバコを売った顧客情報は?』
「馬ァ鹿、教えるわけねえだろーが!」

耳元でギャン!と叫ぶ男。鼓膜がビリビリすんなぁー……叫ぶんじゃねえよ。ちら、と乙骨を見て彼は呆れたように笑って肩を竦めてる。どう見てもヤタベは質問に対して素直に答えてくれるタイプじゃないと丸分かりで。
椅子に座り、まだ爪を一枚だけしか剥がしていない男を見た。

『じゃあ、話すまでひとまず爪を毟っていきますね~、両手にあと九枚ありますし、足にも十枚あるし!
あ、靴と靴下脱がせとく?見えたほうが分かりやすいでしょ?』

「ぐ……ふ、はは…っ!爪、毟られたくらいでは言わねえぞ……?」

計二十枚分耐えればセーフとか思ってんのかな…。と追加するように私は人差し指を立てて少し尋問とはいえ、触れる以外の距離は取ってある拘束された男を見る。

『爪が計二十枚剥がした後は指がありますよ~?とりあえずは爪や指であんたから情報を聞けたらなって思ってるンですけど』

「……へっ、」
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