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【呪術廻戦】白銀の鎹【五条悟】

第30章 彼と共に彼を待つ


言葉からして伊地知の本意とは反する指示だろうとは思うのだけれど。

はあ、と私はひとつため息をついた。
悟が周囲に電話でベラベラと、またはメッセージなどで「僕、パパになります!」とでも送ったんでしょ、伏黒にしたみたいな……全く…!一足先に先輩になった姉さんに相談した時に「こういうのは安定した時に報告した方が良いからね」って言ってたってのに!伊地知含む高専内の知ってる人達、何人かが私が妊娠している事を知ってた。
今はヒサカイは居ないからその情報が高専以外に漏れ出していない、とは思いたい……。危険な目に遭うのはもう懲り懲りなんだよ…。

周囲の誰もが私の状態を知ってて、そして"罰祟り"の際には体内の血を失うというリスクを知っていての尋問。
あの夜蛾学長でもヒサカイでの尋問時にどのような場所に苦痛を与えるか?という私に"髪夜の祟り"を使わせたのも不本意そうではあった、となると……。
学長よりも更に上、上層部が悟が居ない事を分かった上で指示をしているという事なのでは。きゅっと結んだ口元。その伊地知の顔を覗き込む。合わない視線を無理に合わせさせて。

『伊地知さん、まさか上層部…からです?』
「……はい」
『今、悟が海外出張で居ないから?とか…』
「………はい」

はあーー…と長く息を吐いて覗き込むのを止めた。
なーんでこういう時に狙ってくんのかなあ…。胃がムカムカして、ちょっと吐きそう。調子が良くないのに更にストレスが掛かってくる状況。唯一、きっぱりと断れる立場である悟はここに居ない。
ハッとして伊地知を見た。今までのきな臭い案件は野薔薇が居たり、真希が居たりしたのだけれど今回は尋問。呼ばれたのは私だけ。

……確か、尋問の時って悟と一緒なら大丈夫か…!くらいに思ってたんだけれど今、悟は海外に居るんだよね?となると誰か一緒に付き合ってくれるはずなんだろうけれど、この場には補助監督生や事務のみ。
自身を指差し、伊地知に確認する。

『まさか、尋問って私ひとりでやるんですか?』
「断ったのですが、どうしても…と」
『尋問、ですよ?いくら拘束してるとはいっても付き添う呪術師は居たほうが良いんですけれど…』
「そうなんですけれど……ハイ」
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