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【呪術廻戦】白銀の鎹【五条悟】

第30章 彼と共に彼を待つ


287.

悟が居ない二週間という期間。それを狙っている人が居るとはなんとなく察していたけれど……。

今、伊地知に言い渡されたのは明らかに悟に"その話"を通さず、いい人っていうか性格上完全に拒絶しきれない伊地知を通して私へと下りてきたんだろうな~…って話が私の元へやってきた。
今日の事だけじゃない、悟が出張に行ってしばらくした辺りからいつもと違う任務……、きな臭い話を受けてる。それは任務だといって、個人宅に野薔薇と一緒に行って病に臥せっている人を治療して"任務完了"だとか。隔離している呪詛師に制裁を与えるといって、行った場所で目隠しに縛られている人物の脚を「こいつの脚を切れ!」という命令が出たり……(一緒に行った真希が任務を不審がりながらも私の代わりに呪具で斬っていた)

……だから、ひとり高専内の伊地知のデスクに呼び出された時に、今回も何やら臭う任務だろうと思ってた。すっごく言いづらそうな伊地知が俯き、眼鏡を掛け直す彼。上からの指示なんだろうその断りきれなかった仕事に一応は従ってるんだろうって態度の彼はいつもよりも疲れきった表情をしているのは確かで…。

「──っていう話が来ているのですが…」

『あ、あはは…は…、』

眉がハの字になって、本当は断りたいのに断りきれなかったって雰囲気が出てる。こっちとしてはもう、笑うしかねえんだわ……、内容が内容だもん。

危険な任務先に行くって話ではない。今回私に頼み込まれたのは"尋問について"の依頼だった。悟が居る時に彼も渋々私に指の切断についてを覚えさせたのだけれど、まさか悟が居ない時にこうも大きく出るとは。
単独で答えを出すのは後に悟に「オマエが吸った"負"をアウトプットするのは血を身体から減らすんだよ?今のオマエはコドモが居るだろ?大事な血を減らして母子共に危険に晒してんじゃねえよ!」とでも本気で怒られそう。多分そう…絶対お怒り案件。私の知ってる彼はやけに心配性で、脳内の悟がギャン!と正論で怒る未来が見えてくる。

私は伊地知をまっすぐに見た。申し訳無さそうな表情で視線は合うけど引き気味の体勢。

『悟に相談して後日、とはなりません?』

「いえ……相談する暇もありません。今すぐ、だそうですよ」
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