第30章 彼と共に彼を待つ
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買い物に付き合ってくれる傑。お店まで運転してくれた傑は帰りも運転してくれるらしく、更に重い荷物を運んでくれている。私の買い物が終わってその袋を後部座席やトランクに一緒になって詰め込んだ。
食料品から生活必需品、他、サプリメントや化粧品などの購入のために薬局にまで付き合って貰ってありがたい。もう、なにもかもがありがたい。傑は悟と一緒の買い物とはまた違う安心感があるんだわ。
私が積み込みした後、後はやっとくと残りの荷物の取っ手を結んで乗せてくれている。
「よし、」と呟きバタン、と後部座席に運んだ荷物を入れ終えた傑がドアを締めた。
「ハルカ、他に必要な物を買うお店はある?」
……他に足りないものあったかな?この量だしもう買い終えたんじゃあないのかな、もし何か忘れていても早急に必要なものは確実に買ってあるから、買い忘れはないとは思うんだけど。
『ん、特に無いですねえ…』
「そっか。じゃあこれで揃っているなら高専に戻るとしようか?」
……じゃあ、買い物はこれで終わり?
高専から出て一時間くらい。今から帰れば寮でひとりご飯を作って食べる……と。サトールが居るから寂しさは薄れても、人が側に居たほうがいい。
なら、お礼にご飯でも奢るか!私も部屋にこのまま帰って作るのは面倒くさいし、他所で食べたいって最初から思っていたのだし!
今の体調的に食べられると思うし!運転席に乗る前の傑ににこ、と笑う。
『いや、高専に戻るのは少し後にしまして。次はごはん屋さんに行きましょうよ!付き合ってくれたお礼にご馳走しますよー』
ジャンクフードなりファミレスなりお好みでなんなりと!あ、でもちょっと生臭いメニューが無理かもしれない。
ふんす!と気合いを入れて傑を見たら申し訳無さそうな、うーんと考えてる表情。
「すまないね、君を送った後に先客のうちの子らと食事に行く約束があるんだ」
『……う、うちの子ぉ!?』
え、傑パッパやったんけ??スグル・ゲトー。ゴッドファーザー…?ファーティ??
『すぐるパッパ……なん?』
目を大きく見開き数度瞬いて彼を見上げれば「いや…、」と傑は片手で制止し首を振って。運転席のドアを開けて中に入る彼。釣られて私も助手席に乗り込んだ。寒かったから車の中が少しだけ暖気が残ってて温かくていいわ。
すぐにエンジンを掛けて傑は暖房を入れる。