第30章 彼と共に彼を待つ
ちなみに、学校の授業中も片時も離れず連れ回してるので、彼は机に座りじーっと見てくる。声帯があればなんか喋るんだろうな、とは思うけれどたまーに、なんか言ってる時があるからそれは怖かった。「ヌイ…ヌイ…」とか「ゴジョ…」といった言葉の一部というか。まあ、呪骸って基本そういうモンだっていうのは知ってるけれどさ!人間と同じ様なサイクルで生活してコミュニケーションまでとれてしまう、パンダが特異なワケだ…。
そうやって悟の居ない日々が繰り返され、なんだかんだで時間は過ぎていき彼が海外に出張に行ってから一週間は経過した。そうすればやや体が熱っぽいと感じる日々にも忍び足で迫ってくるような、新たな体調変化もやって来るもので。
毎日という訳じゃないけれど時々吐き気……気持ち悪いと感じる事が多くなってきた。それ以外はあの生理中の時のような眠気、とにかく眠い。そういった変化が身体に少しずつ出始めていた。
しかし、体調が良くないからって学校の後に毎日部屋に速攻帰って休むわけにもいかないし、そろそろ買い物にも行かないといけない。
今、冷蔵庫内がすっきりとしていて可哀想な事になってるし。
ベッドに腰掛け、学校から帰ってきてまだ着替えていない制服の上からブランケットを掛けてだらだらとしながら、ちら、と冷蔵庫のある方向を見てため息をつく。
夕飯……めんどくせえなあ…。いっその事外で食べたいくらいなんだけど。
でも外出するのも眠いんだよなー…どうすっか、と自身の携帯で悟にメッセージを送る。眠くて運転に自信ないッス、とな。
……高専にウーバーイーツ、頼めないのかなあ……?コープとかそういった食材配達でも良いからさあ…。絶対私以外にも必要とする人居るでしょ。
トーク画面のままぼんやりしているとすぐに既読が付き、しばらくすればシュポ、という効果音。彼からメッセージが返ってきた。あれ、海外って悟…どこに居るんだろ?
"本当は七海にしたかったんだけど七海任務中だって言うから、傑を手配したよ!おかしもの法則、押さない・駆けない・喋らない・もち吉のいなりあげもちとちょこあられは美味しい、で部屋で待ってなさいね"
"ていうか傑呼んだ後だけど僕が居ないからって浮気しないでね。僕以外の男とイチャイチャ禁止!僕がイチャイチャしたいの我慢してんだから"
